2023年12月
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乳児の聴覚障害の早期診断・治療に期待―近赤外線を用いた脳の画像化手法 豪州

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)の電気・コンピューターシステム工学科(Electrical and Computer Systems Engineering)と生体工学研究所(Bionics Institute)の研究チームが、近赤外線を用いた非侵襲的な脳の画像化手法について、乳児の聴覚障害の早期診断と早期治療に役立つ可能性があることを明らかにした。11月10日付発表。この研究成果は学術誌Journal of Neural Engineeringに掲載された。

長期にわたる聴覚障害は、発話や言語に関わる脳の言語領域の発達に大きな影響を及ぼす可能性がある。しかし、現在、乳児の聴覚障害の程度を正確に判定するには複数の診断検査が必要であり、これらの検査は子どもと親の両方に負担をかけるものとなっている。

博士課程学生イシャラ・パラナウィサナ(Ishara Paranawithana)氏らの研究チームは、機能的近赤外線分光法(functional near-infrared spectroscopy:fNIRS)を用いて、聴覚が正常な乳児の脳を画像化し、乳児の成長に伴う脳の言語領域の発達と相互の結合の過程を明らかにした。

パラナウィサナ氏は、聴覚が正常な乳児の結合に関する客観的な測定値は、聴覚障害がある乳児の言語発達の程度を比較により判定するためのバイオマーカーになりうると語る。さらに「fNIRSは臨床での使用に適した比較的安価で子どもに優しい(child-friendly)脳画像化技術であり、このような技術により聴覚障害を早期に診断することで、効果的な治療を早期に開始し、聴覚障害のある子どもが他の子どもに後れを取らないように最大限のチャンスを提供できる」と、この技術の活用への期待を述べた。

この研究成果は、生体工学研究所が開発し現在臨床試験中の、聴覚検査用の生体工学デバイス「EarGenie」の機能強化に用いられる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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