オーストラリアのメルボルン大学(University of Melbourne)は、イタリア宇宙機関(Italian Space Agency)と共同で開発を主導した超小型人工衛星「Space Industry Responsive Intelligent Thermal:SpIRIT」が、米カリフォルニア州バンデンバーグ宇宙軍基地(Vandenberg Space Force Base)から打ち上げられたと発表した。豪州にとって数十年ぶりの科学衛星ミッションとなる。
打ち上げに先立ち、豪州の宇宙産業界のリーダーらを集めたイベントが開催された。基調講演にはオーストラリア宇宙庁(Australian Space Agency)のエンリコ・パレルモ(Enrico Palermo)長官をはじめ、SpIRITの研究責任者である同大学のミシェル・トレンティ(Michele Trenti)教授らが登壇した。
続いて、科学コミュニケーターのグラハム・フィリップス(Graham Phillips)博士の進行の下で宇宙産業に関するパネルディスカッションが行われた。ディスカッションに参加したトレンティ氏とパレルモ氏は、宇宙において基礎研究と応用研究との独特な相互作用が起こっているという点で一致し、宇宙におけるイノベーションが地上の生活を向上する可能性について語り合った。
また、伊航空宇宙・防衛企業レオナルド豪州法人(Leonardo Australia)の宇宙事業開発マネージャーであるジョージ・クルパス(George Coulloupas)氏は、「SpIRITの打ち上げは豪宇宙産業の能力を示すものとなる。熱管理システムの実証により、研究システムから商業市場への橋渡しに関する大きな自信が得られるだろう」と語った。
(2023年11月30日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部