2024年02月
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色覚異常が科学にもたらす「見えない障壁」を壊す方法 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は1月14日、色覚異常の人々にわかりやすくデータを提示することに関する見解を発表した。

色覚異常のタイプが異なると、色の見え方も異なる
(https://pilestone.com/pages/color-blindness-simulator-1.を使用してシミュレートされた画像)

色覚異常は色を感じる能力に支障をきたす視覚障害の一種であり、主に網膜の光受容細胞である錐体の欠落を原因とする。影響を受ける錐体の違いにより、赤と緑の色相を区別しづらい2型3色覚(deuteranomaly)やすべてが白黒の諧調で見える一色型色覚(monochromacy)などいくつかの種類に分類されている。

科学論文などでは、結果や概念を視覚的にわかりやすく伝えるため細かく色分けされたグラフやマップ(データビジュアライゼーション)がよく用いられるが、色覚異常を持つ人々にとってこのような色分けはわかりづらく、重大な誤解につながる可能性もある。

色覚異常を持つ地質学者マーク・リンジー(Mark Lindsay)博士は、色覚異常を持つ人々にもより利用しやすく科学的データを提示するためのポイントについて、次のように述べた。

  1. 緑と赤を一緒に使うことを避ける。
  2. 文字と背景色を見やすくするためコントラストを使用する。
  3. データポイントを表す際に、色分けしたテキストラベルの代わりにアイコンや記号を使用する。
  4. 色覚異常に対応したデータビジュアライゼーションのオプションがあるソフトウェアを使用する。
  5. 色覚異常シミュレーターを用いて確認する。

マーク・リンジー(Mark Lindsay)博士(左)ら研究チーム
(出典:いずれもCSIRO)

「科学において色覚異常がもたらす問題を検討することにより、私たちは障壁を壊しはじめている。また、より多様な視点を可能にすることで、科学における語り(scientific narrative)を豊かにすることができる」とマーク博士は語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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