2024年02月
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集中型の社会システム、農業のイノベーションを妨げる可能性 豪シドニー大学

オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は1月25日、農村において、少数の人物に影響力が集中する社会システムが新たなアイデアやイノベーションの導入を妨げている可能性があることを明らかにしたと発表した。スウェーデンのストックホルム大学(Stockholm University)との共同研究。この研究成果は学術誌People and Natureに掲載された。

(出典:シドニー大学)

今回、研究者らは、革新的および持続可能な農業慣行がコミュニティでどのように導入されるかを明らかにするため、カカオ豆を生産するインドネシア・スラウェシ島の30農村を対象に、社会的ネットワークと肥料の使用状況を調べた。

その結果、1人または2人の農家が(多くの場合政府の持続可能性プログラムにおいて「モデル農家」として指定されているために)非常に大きな影響力を持ち、ほかの大多数の農家はこれらの農家にならった慣行(今回の場合は肥料の使い方)を導入する傾向にあることがわかった。

シドニー大学プロジェクトマネジメント学科(School of Project Management)のペトゥル・マトウシュ(Petr Matous)准教授は、このような「ハブアンドスポーク(Hub-and-spoke)」型のネットワークは、イノベーションや、持続可能性や食料安全保障を促進する慣行の導入を妨げうると指摘した。

同准教授は、「一般に好まれる強いリーダーという考え方に対し、我々は、意思決定や影響力が後半に共有される社会化されたリーダーシップの形を理解することで、コミュニティをプロジェクトやプログラムに関与させるより効果的な方法を見つけたいと考えている」と語った。

この研究は持続可能な農業を推進するスイスの非政府組織Swisscontactの支援を受けて実施された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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