オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は3月14日、3大陸・16カ国が参加する世界最大の電波望遠鏡「スクエア・キロメートル・アレイ(SKA)」の建設プロジェクトにおいて同機構が重要な役割を果たしていることを伝えた。
「天の川」の下、Wajarri族の居住地域に設置されたASKAP電波望遠鏡
Credit: Alex Cherney/CSIRO(出典:CSIRO)
SKAを構成する2つのアンテナ群の1つである低周波アレイ(SKA-Low)の建設は、2022年12月に西オーストラリア州マーチソン電波天文台(Murchison Radio-astronomy)で開始された。CSIROは以下の側面からこのプロジェクトを支援している。
- 電波天文学のパイオニアとしての豪州の経験を生かし、インフラ計画、望遠鏡の運用、ソフトウェア、コンピューティングにおいて重要な役割を果たしている。
- Wajarri族の居住地域(Wajarri Country)に位置するマーチソン天文台の管理機関として、既設の電波望遠鏡を含む機器からの電波放出を軽減することで、電波望遠鏡での観測に最適な環境を維持している。
- 天文台および電波望遠鏡の建設にあたっては、長年この土地を所有してきたWajarri族との間で先住民土地使用契約(Indigenous Land Use Agreement)を締結し、SKA-Lowの配置もWajarriの人々と共同で決定した。同天文台のWajarri語での名称「Inyarrimanha Ilgari Bundara」は「空と星の共有」を意味する。
- SKA天文台(SKAO)の豪州チームと連携して、13万基以上のアンテナで構成されるSKA-Lowの建設・運用計画を進めている。2024年3月には最初のアンテナが設置された。
- 企業や地域の専門家、世界各国の研究機関と連携してSKAプロジェクトのさまざまな側面を支援し、宇宙の観測に用いるデータの処理や画像の生成を行うスーパーコンピューターの開発にも携わっている。
SKAO評議会(SKAO Council)の豪州代表を務めるCSIROのダグラス・ボック(Douglas Bock)博士は「これらの望遠鏡により、かつてない方法で宇宙を観測することが可能になり、最初の星や銀河が形成された時期について知ることができる」と、SKAがもたらす天文学上の発展に期待を寄せている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部