豪シドニー大学(University of Sydney)物理学科とオーストラリア研究会議(ARC)のASTRO 3Dセンターに所属するスコット・クルーム(Scott Croom)教授が率いる研究により、銀河が混沌とした状態になる主な要因は銀河の年齢であることが明らかになった。4月4日付発表。研究成果は学術誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに掲載された。
すばる望遠鏡が撮影した、SAMI Galaxy Survey チームによって観測された3,000個以上の銀河のひとつ
Credit: HSC-SSP/M. Koike/NAOJ(出典:シドニー大学)
誕生時の銀河では星々が秩序だったパターンで回転しているが、宇宙には星々がランダムに運動している銀河もみられる。これまでの研究では、このランダムな運動を生じさせる要因は周囲の環境や銀河の質量かもしれないと考えられていた。
クルーム教授は、「どのような方法で分析しても、一貫して年齢が重要なパラメーターであるという結果が得られた。年齢が説明された時点で、環境による傾向は本質的になく、質量についても同様である」と述べた。
この研究は2012年にシドニー大学とアングロオーストラリア天文台(Anglo-Australian Observatory)が設置した望遠鏡を用いた研究プロジェクト「SAMI Galaxy Survey」の観測データを使用したものであり、幅広い環境にある3,000個の銀河を調査した結果に基づいている。
クルーム教授らは次のステップとして、銀河の進化のより詳細なシミュレーションを作成することを目指し、より高い分解能を持つ最新装置を用いた研究に取り組んでいる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部