オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は4月18日、豪州・英国両国の宇宙庁の支援の下で、英国南西部プリマス湾(Plymouth Sound)で同機構の水質モニタリングシステム「AquaWatch」の試験を実施すると発表した。
AquaWatch水質センサーが設置されたプリマスのタマー橋
© Plymouth Marine Laboratories (PML)
このプロジェクト(「AquaWatch AUK」)は、オーストラリア宇宙庁(Australian Space Agency)も出資する英国宇宙庁(UK Space Agency)のファンディング制度「International Bilateral Fund」の助成対象に選出された。英国側では宇宙企業サリー・サテライト・テクノロジー(Surrey Satellite Technology)がプロジェクトを主導する。
AquaWatchは水質版の「気象サービス」を目指して開発されているシステムであり、水中に設置されたセンサーと衛星に搭載されたセンサーから得られたデータを統合して、水質に関する最新データや予測を提供する。2023年の立ち上げ以来、豪州の複数地点で試験が行われてきたが、他国に国家規模で導入されるのは初めてとなる。
欧州宇宙機関のセンチネル-2衛星は、AquaWatchミッションの衛星データの供給源のひとつである
© European Space Agency
(出典:いずれもCSIRO)
プロジェクトに協力する英国のプリマス海洋研究所(Plymouth Marine Laboratory:PML)の科学者エリザベス・C・アトウッド(Elizabeth C. Atwood)博士は、このテストサイトでは、下水や農業排水、重金属、さまざまな人為的汚染物質を含む、タマー(Tamar)川とプリム(Plym)川から河口や沿岸への流出(run-off)をモニタリングすると述べ、「こうした課題を踏まえると、プリマス湾はAquaWatchシステムの最適なテストベッドである」と語った。
このプロジェクトは、両国の持続可能な開発や環境スチュワードシップにおいて宇宙技術が果たすべき重要な役割を強調している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部