米国科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービス「Eurekalert!」は5月14日、豪モナシュ大学の主導による研究により、1990年から2019年までの30年間、毎年の暖候期ごとに15万3000人以上が熱波により死亡しており、その半数近くをアジアが占めたことが明らかになったと発表した。この研究成果は、PLOS Medicineに掲載された。
中国の山東大学や英国のロンドン大学衛生熱帯医学大学院など世界の複数の大学・研究機関と共同で行われたこの研究は、世界的に熱波関連の死亡数をマッピングした初の研究であり、1990年から2019年までの43カ国・地域750地点の毎日の死亡者数と気温のデータを調べた。
分析の結果、熱波が原因で、毎年暖候期ごとに1千万人当たりの死亡者数が236人増加していることが判明した。死亡者数が最も多かった地域は、南ヨーロッパと東ヨーロッパ、寒帯気候と高山気候の地域、そして住民の所得が高かった地域だった。対照的に、熱帯気候の地域と低所得の地域ではこの間、熱波に関連した死亡負担が最も大きな減少を示した。
研究を主導したモナシュ大学のユーミン・グオ(Yuming Guo)教授は、「熱波が過去30年間、相当の死亡負担と関連しており、その程度は地理的・時間的にさまざまであったという我々の発見は、すべての政府レベルで地域に特化した適応計画とリスク管理が必要であることを示唆している」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部