2024年07月
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AIはオンラインで「笑い」を再現できるか 豪シドニー大学 «動画あり»

シドニー大学(University of Sydney)言語文化学科(School of Languages and Cultures)のベンジャミン・ニクル(Benjamin Nickl)博士が6月3日、デジタル社会において「笑い」が果たす役割やユーモアの理解に関するAIの進化について、最新の知見とともに解説した。

TikTokは私たちの行動を追跡してどれだけ面白いと感じているかを推測できる
(出典:シドニー大学)

人間の笑いはさまざまな社会的機能を持つが、特にテック企業やアプリ開発者は、怒りやストレスを緩和する機能に着目している。ユーモアのセンスを持つバーチャルアシスタントやアバターが登場すれば、私たちがテクノロジーの利用で感じるいらだちを和らげてくれるかもしれない。

テック企業はユーザーが何を面白いと感じているかを理解するため、オンラインのやり取りを分析している。特に「泣き笑い」の絵文字は機械学習の「タグ」として重要な情報を提供している。このようにしてユーモアを学習したアルゴリズムは、TikTokなどのアプリで、ユーザーにお勧めのコンテンツを提示する機能などに利用されている。また、「Witscript」というジョークを生成できるAIチャットボットも開発されている。

京都大学の研究チームが開発した人型ロボット「ERICA」は、会話している相手の笑いを検知して一緒に笑ったり、くすくすと笑いながら返事をしたりすることができる。ロボットにより人間らしさを加えることを目的としたこのプロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構による「ムーンショット型研究開発事業」から助成を受けた。

豪州のウエストパック銀行(Westpac)のWebサイトに「オーストラリアの若者のデジタルコーチ」として登場したアバター「Wendy」は、心から笑っているような笑顔(「デュシェンヌ・スマイル」)を浮かべてジョークを返すことができる。

テクノロジー関連の展示会では毎年、Wendyのようなアバターやアンドロイドが新たに発表されている。AI科学者らは人工知能が私たちを笑顔で安心させてくれるような未来を描いており、どこまで自然な笑いを実現できるかが注目される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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