オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は8月23日、同機構が運営する「インド太平洋プラスチックイノベーションネットワーク(IPPIN)」が進める多様性への取り組みを紹介した。
アジアの多くの水路でプラスチック汚染が大きな問題となっている
IPPINは、プラスチックのライフサイクルを再定義して循環経済を構築することを目的に、インドネシア、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアの各国で研究者やスタートアップを支援するプログラムを実施している。
IPPINではジェンダー平等や障害者の包摂(インクルージョン)を含めたあらゆる面での社会的包摂を目指すGender Equality, Disability, and Social Inclusion (GEDSI)というアプローチをビジネスモデルに取り入れることを推奨している。以下はこれを実践しているスタートアップの例である。
リサイクルしたプラスチックを利用し、ベトナムの伝統的な漆工芸技術などを取り入れた美しく環境に優しい製品を作っている。女性が率いるスタートアップであり、従業員の80%は女性、12%は障害を持つ人で構成されている。全従業員に平等な労働条件を提供し、プラスチック加工に従事する労働者を守る安全方針を導入するよう販売業者にも働き掛けている。子供向けの教育プログラムを遠隔地や農村部を含むベトナム各地で実施するなど、幅広い層の環境意識の向上にも取り組んでいる。
プラスチック廃棄物を美しいインテリアやアートに変える
© UpGreen
廃棄されたペットボトルを、3Dプリント用フィラメントや義装具などの製品に利用できる材料へと転換している。水質汚染やプラスチックごみの焼却による汚染物質排出の影響を不均衡に受けている人々に利益をもたらすことを重視している。GEDSIの理念に基づき包摂的な職場の実現に取り組んでおり、学歴を問わず多様なバックグラウンドを持つ人々のプロジェクトへの参加を促している。
コープビジターズセンター
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(出典:いずれもCSIRO)
CSIROは、GEDSIの考え方を取り入れることは、以下につながると述べている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部