オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は9月2日、豪マードック大学(Murdoch University)との800万豪ドルの共同プロジェクトとして、西オーストラリア州パースの同大学メインキャンパス内に、次世代の生分解性プラスチックの開発に向けた「バイオプラスチックイノベーションハブ(Bioplastics Innovation Hub)」を開設したことを発表した。
生ゴミを有効利用:ハブでは食用油などの生ゴミを利用した持続可能なプラスチックを開発
(出典:CSIRO)
この施設では、プラスチック包装の変革に向けて、微生物学、分子遺伝学、合成生物、生物化学工学、先進製造などの専門家を集め、産業パートナーとともに、堆肥や土、水の中で分解される生物由来のプラスチックを開発することを目指す。CSIROのリサーチプログラムディレクター、アンディ・ホワイトリー(Andy Whiteley)博士は、「スプレーやフィルム、ボトル、キャップなどに使用される、100%堆肥化可能な生物由来の包装材の開発を主な焦点とする」と述べている。
最初の重点分野として、西オーストラリア州のバイオテクノロジー企業エコファバイオテック(Ecopha Biotech)と共同で、食品産業の廃棄物を原料とする堆肥化可能なバイオプラスチックを用いたウォーターボトルの生産工程の開発に取り組む。
マードック大学の研究・イノベーション担当副学長(Deputy Vice Chancellor Research & Innovation)を務めるピーター・イーストウッド(Peter Eastwood)教授は、プラスチック廃棄物がもたらしている危機に対応するには、バイオプラスチックを含む革新的な技術が必要だと述べ、さらに、「マードック大学はCSIROとともに、持続不可能なプラスチック生産の必要性を最小限にすることにつながる、新たな堆肥化可能バイオプラスチックの迅速な開発とグリーンプラスチックの市場投入を目指す」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部