オーストラリアのシドニー工科大学(UTS)は9月20日、シドニーを拠点とする新たなバイオテクノロジー企業アルジニー(Algenie)が、同大学と連携して革新的な藻類生産技術の商用化を目指していることを伝えた。
アルジニー社は著名な科学者で起業家のニック・ヘイゼル(Nick Hazell)氏が設立した。UTSの研究機関「気候変動クラスター(C3)」の研究を基盤とし、UTSの研究者と密に連携しながら気候変動対策や化石燃料の代替につながる藻類生産技術を開発している。同社はアーリーステージ投資家から高い関心を集め、UTSや戦略的投資家らから110万豪ドルを調達している。
藻類は二酸化炭素(CO2)の強力な吸収源であり、化石燃料を代替するプラスチックや燃料の原料としても有望である。しかし、従来の技術では生産コストが高く、大量生産が困難とされていた。
同社の特許技術であるらせん構造のフォトバイオリアクターを用いた培養方法は、藻類培養の生産性とコスト効率を飛躍的に向上させる。この装置では藻類がらせん状の経路を上から下に流れる連続的なプロセスと、最先端のLEDにより維持される最適な光条件により、藻類が急速に成長し、輸送用コンテナ1個分の面積で年間100トンもの藻類を生産することが可能になる。
ヘイゼルCEOは「我々のらせん設計と技術は真のブレークスルーであり、藻類を用いた解決策が従来の化石燃料ベースの製品と経済的に競合し、最終的にはこれらに取って代わるための道を開いている」と述べた。
同社の技術は、バイオ燃料や持続可能なプラスチックだけでなく、繊維、水産養殖等さまざまな産業に利用できる可能性がある。同社は技術をライセンス化し、パートナーと共同で大規模な生産設備に投資することを計画している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部