2024年11月
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マイクロチップの表面に音波を生成、次世代技術への活用に期待 豪シドニー大学

オーストラリア・シドニー大学(University of Sydney)は10月23日、同大学の研究チームが、レーザーを用いてマイクロチップの表面に高周波の表面弾性波(surface acoustic wave)を生成することに初めて成功したと伝えた。研究成果は学術誌APL Photonicsに発表された。

シドニー大学ナノ研究所でのモリッツ・メルクライン(Moritz Merklein)博士(中央)ら
(出典:シドニー大学)

これらの音波は地震で生じる表面波と似たものではあるが、はるかに高い周波数を持ち、通常は電子を用いて励起されていた。今回、チームはGeAsSeという特殊なガラス材を導波路(wave guide)とし、光と音の相互作用を利用する誘導ブリルアン散乱(stimulated Brillouin scattering)という技術を用いて、高周波の表面弾性波を1枚のチップ上で生成・制御・検出する方法を示した。オランダ・トゥウェンテ大学の学生でありシドニー大学の研究所に留学していた筆頭著者のホフェルト・ネイツ(Govert Neijts)氏は、「このアプローチには、電子励起のような熱を生じないことをはじめ、様々な利点がある」と語る。

論文の責任著者でプロジェクトリードを務めたシドニー大学ナノ研究所(University of Sydney Nano Institute)のモリッツ・メルクライン(Moritz Merklein)博士は、「これからは電気のかわりに光と音を用いるチップの新たな設計を考えることができるようになる」と語る。

研究者らは、この技術は、環境中の微細な変化を検知するセンシングや、次世代通信技術に利用される高度な信号処理技術に活用できると期待している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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