オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は11月8日、同機構の研究者らが開発した、植物油の収量を増やす画期的な技術が、世界的なバイオ燃料の生産・使用の拡大につながる可能性があることを伝えた。
CSIROのトマス・ファンヘルケ(Thomas Vanhercke)博士はこのプロジェクトに10年以上携わる
(出典:CSIRO)
この技術はCSIROが10年以上をかけて開発し、豪州の農業技術企業ニューファーム(Nufarm)が取得した。ニューファーム社は、この技術のさらなる開発に向けてCSIRO、米フロリダ大学(University of Florida)、ブラジルのInstituto Agronomico(IAC)と共同研究を行うことを発表した。
植物油は通常、油料作物の種子や果実から採取されるが、この技術は、葉や茎などの植物バイオマスからも油を生産することを可能にする。
10年以上にわたりこの技術の開発に携わってきたトマス・ファンヘルケ(Thomas Vanhercke)博士は、「食料安全保障に影響を及ぼさない植物油生産の拡大が世界的に必要とされていることを受けて、この技術を開発しようと考えた」と述べた。
現在のプロジェクトリードを務めるシュエロン・チョウ(Xue-Rong Zhou)博士は「この新たなバイオ燃料および再生可能な油の開発は、持続可能な未来を支えるものとなる。ニューファーム社や世界の研究パートナーと協力して、この技術をバイオマス収量が大きいサトウキビやソルガムの品種に使用し、現実のものとできることを楽しみにしている」と語った。
ニューファーム社はさらに、この技術の将来の商用化に向けた戦略パートナーとの提携も進めている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部