オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、同機構とオーストラリアエネルギー市場管理機関が共同で作成している年次報告書「GenCost」に基づき、原子力発電は、開発期間や効率の面で、豪州のネットゼロ目標を達成するための主要な手段にはなりえないとの見解を発表した。
豪州が2050年までの排出量ネットゼロという目標に取り組むうえで、電力部門は重要な役割を果たす。豪州には現在原子力発電所はないが、電力部門の脱炭素化手段の一つとして導入を推進する声もある。
GenCostは豪州におけるさまざまな種類の発電・蓄電施設の構築と水素生産に要するコストを推定する、政策・技術的に中立な報告書である。2024-25年版の草案では、新設の発電技術のコスト範囲は、前年までに引き続き再生可能エネルギーが最も低いことが示された。また、原子力発電所の運転期間の長さを考慮し、これまでで初めて資本回収期間を60年として(従来は30年)コスト上の利点を計算したが、他の発電技術を上回るコスト上の利点は見つからなかった。
CSIROはGenCostのデータに基づき、豪州の原子力発電について以下のような見解を提示している。
(出典:CSIRO)
(2024年12月9日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部