2025年01月
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原子力発電がネットゼロ達成に果たす役割をコスト面から検討 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、同機構とオーストラリアエネルギー市場管理機関が共同で作成している年次報告書「GenCost」に基づき、原子力発電は、開発期間や効率の面で、豪州のネットゼロ目標を達成するための主要な手段にはなりえないとの見解を発表した。

豪州が2050年までの排出量ネットゼロという目標に取り組むうえで、電力部門は重要な役割を果たす。豪州には現在原子力発電所はないが、電力部門の脱炭素化手段の一つとして導入を推進する声もある。

GenCostは豪州におけるさまざまな種類の発電・蓄電施設の構築と水素生産に要するコストを推定する、政策・技術的に中立な報告書である。2024-25年版の草案では、新設の発電技術のコスト範囲は、前年までに引き続き再生可能エネルギーが最も低いことが示された。また、原子力発電所の運転期間の長さを考慮し、これまでで初めて資本回収期間を60年として(従来は30年)コスト上の利点を計算したが、他の発電技術を上回るコスト上の利点は見つからなかった。

CSIROはGenCostのデータに基づき、豪州の原子力発電について以下のような見解を提示している。

  • 原子力発電は太陽光発電や風力発電と経済的に競合できない。豪州に新たに原子力発電所を建設する場合、総開発期間は少なくとも15年を要する。
  • 小型原子炉(SMR)はより短期間で建設できる可能性があるが、現段階では商用技術として未成熟である。
  • 原子力発電の開発リードタイムの長さを考慮すると、原子力発電は、他部門よりも緊急性が高い電力部門の排出削減において主要な役割を果たすことはできない。

(出典:CSIRO)

(2024年12月9日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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