2025年02月
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倍加半数体を用いた技術により、小麦育種を変革 豪シドニー大学

オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は1月9日、同大学で開発された倍加半数体(DH)技術が小麦育種業界に変革的な影響をもたらしていることを伝えた。

ニザム・U・アフメド(Nizam U Ahmed)博士(中央)
(出典:シドニー大学)

このDHを用いた小麦育種技術は、同大学の植物育種研究所(PBI)に所属するニザム・U・アフメド(Nizam U Ahmed)博士が2002年に確立したものである。新しい品種の開発期間を従来の10~12年から6年に短縮し、迅速かつ効率的な育種プログラムへの道を開いた。

アフメド博士とPBIのチームはこのDH育種法を用いて、豪州全域で多数の育種プログラムを支援してきた。この技術は2004年以降、ロングリーチプラントブリーダーズ(Longreach Plant Breeders)などさまざまな企業に採用され、2010年には豪州で初めてのDH小麦品種である「Spitfire」が発表された。チームが提供したDHを用いて開発されたDH品種は、2024年までで25種に上る。

DH技術の成功は豪州国外からも大きな関心を集め、アフメド博士は世界各国の大学や研究機関に招かれて技術の紹介や小麦研究者の研修を行っている。博士らの活動は、PBIおよび豪州の農業研究の評価を世界的に高めることにつながっている。

この技術は、シュプリンガーネイチャー(Springer Nature)社が2020年に出版した書籍『Science and Technology Innovation for a Sustainable Economy』の「A Rapid Breeding Technology of Wheat」という章でも言及されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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