オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は1月16日、同機構が開発したシステムを通じて、豪州の市民が侵略的外来種(invasive species)の管理に大きく貢献していることを伝えた。
最近までオーストラリアには高度に侵略的なタイワンシジミ(Corbicula fluminea)は生息していないと思われていたが、2023年9月にクイーンズランド州の市民科学者がデータベースに写真をアップロードした。
© Stephen Csurhes via iNaturalist / Atlas of Living Australia(出典:CSIRO)
侵略的外来種は生物学的多様性や農業をはじめとする産業に深刻な害をもたらしうる。侵入した害虫や雑草、病原体等の拡散を防ぐには、早期の発見が非常に重要である。
豪州の国家的生物多様性データベース「Atlas of Living Australia(ALA)」の「バイオセキュリティアラートサービス」は、市民らから寄せられた侵略的外来種の目撃情報を管理当局に通知するシステムである。このサービスはCSIROが豪連邦政府の農業・漁業・林業省(DAFF)とともに開発したものであり、既にいくつもの重要なバイオセキュリティ問題の発見につながっている。例えば、侵略性が高い外来種として知られるタイワンシジミ(Corbicula fluminea)は、2023年にクイーンズランド州の市民科学者が投稿した目撃情報がこのサービスを通じてDAFFに通知されたことにより、豪州への侵入が初めて確認された。
ALAのバイオセキュリティリードを務めるエリン・ロジャー(Erin Roger)博士は、「これまで発したアラートの約99%が市民科学者の目撃情報に基づいています。これは市民科学者から寄せられる情報の量とデータロードの頻度のおかげで、市民科学がバイオセキュリティ監視の有用な手段として活用されています」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部