オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は3月6日、豪州のネットゼロ目標の達成に向けた進捗状況と、CSIROの取り組みを紹介した。
豪州がネットゼロ達成の目標年とする2050年が近づくなか、豪州の電力部門は脱炭素化目標の実現に向けた最速の経路を模索している。豪州の再生可能エネルギー発電は過去10年間で2倍以上に成長し、2023年の豪州のエネルギー生産に占める割合は前年比から11%増加して34%となった。しかし、化石燃料はなお発電量全体の65%を占めている。
また、2022~23会計年度に豪州で消費されたエネルギー全体のうち、電気として消費された割合は22%に過ぎない。CSIROのエネルギー部門を率いるディートマー・トゥルビー(Dietmar Tourbier)博士は、ネットゼロ排出を達成するには、再生可能エネルギーを用いて発電した電気で他のエネルギーを置き換えることで、このようなエネルギー消費の不均衡にも対応する必要があると語る。また、蓄電技術の活用やエネルギー効率の向上を通じてエネルギーシステムの最適化を継続することも必要であると述べている。
CSIROは科学技術を通じて上記の取り組みを促進するため、以下の3つの主要テーマに沿ったさまざまなエネルギー研究プロジェクトを進めている。
(出典:CSIRO)
CSIROはこのほか、エネルギー変換に向けた政府・産業界・研究界の連携の促進や、統合的なエネルギーシステムの実現、量子バッテリーなどの革新的技術の開発にも取り組んでいる。
豪州の排出量は2030年までに2005年の水準よりも42.7%少なくなると予想されている。これは豪州が目標とする43%にはわずかに届かないものの、豪州はネットゼロの達成に向け十分に軌道に乗っているとCSIROは述べている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部