2025年05月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2025年05月

線維筋痛症女性に口腔内細菌と慢性痛の相関確認 豪シドニー大学

オーストラリアのシドニー大学は4月10日、女性の口腔健康の悪化が、片頭痛や腹痛、全身の慢性痛といった複数の痛みのリスク増加と有意に関連することを示した世界初の研究成果を発表した。研究結果は学術誌Frontiers in Pain Researchに掲載された。

(出典:シドニー大学)

本研究は、口腔マイクロバイオーム(微生物叢)と神経系との関連に注目し、慢性の広範な筋肉痛や疲労感、睡眠障害などを特徴とする疾患である線維筋痛症の女性を含むニュージーランドの成人女性を対象に実施された。参加者の口腔健康状態と痛みの程度、さらに口腔内微生物の構成を先進的なゲノム技術で解析した結果、痛みと特定の口腔内細菌(DialisterFusobacteriumParvimonasSolobacterium属)との間に有意な関連が認められた。

調査では、口腔の健康が最も低い群では、中等度から重度の体の痛みを訴える割合が60%、片頭痛を経験する割合が49%と高く、慢性片頭痛との相関も統計的に有意であった。また、口腔の健康状態と食生活の質の間にも弱いながら有意な負の相関が見られた。

研究を主導したジョアンナ・ハーネット(Joanna Harnett)准教授は「本研究は、線維筋痛症の女性に一般的な痛みと口腔健康および口腔マイクロバイオームとの関係を調査した初めての研究であり、口腔健康の悪化と痛みとの間に明確かつ有意な関連性があることを示しました」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る