オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)は6月3日、同大学のオーストラリア・ロボティクスセンター(ACFR)が開発した自律型海中ロボット(AUV)が、オーストラリアのノーフォーク島周辺の未踏の海底において、3次元水中モデルの作成に利用される数万枚の高解像度の画像を収集し、機械学習に基づく手法を用いて画像を分類し、希少種の探索も行ったことを発表した。
(出典:シドニー大学)
ノーフォーク島は、シドニーの北東1600kmに位置する熱帯と温帯が交差する孤立した火山島で、多様な動植物が生息しており、気候変動の影響を記録する上でも重要な地域とされる。今回の遠征では、AUVが珊瑚礁や岩礁を含む海底を数千m2にわたって探査した。AUVは高解像度のステレオカメラと航法センサーを備えており、調査対象海域で数万枚の画像を収集し、ノーフォーク海域の海底が初めて詳細に可視化されることになる。この探索により、オーストラリアとニュージーランドの地域社会、海洋保護区、博物館に海底の動植物の状態に関する情報が提供されるようになる。
ノーフォーク島探検中に自律型海中ロボット(AUV)が撮影した水中視点映像
(Source: Stefan Williams)
ACFRのステファン・ウィリアムズ(Stefan Williams)教授は「AUVの視覚・音響センサーによって海底の詳細な3Dモデルが構築され、この地域の環境調査で何が明らかになるのかを楽しみにしています」と語った。オーストラリア博物館研究所(AMRI)のシェーン・アヒョン(Shane Ahyong)教授は「ノーフォーク島のような科学的に重要な特定の場所に焦点を当てるために、さまざまな研究機関の科学者を集めることには大きな価値があります」と指摘した。
この調査はAMRIが主導し、シドニー大学、パークス・オーストラリア、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワやオークランド戦争記念博物館、そしてノーフォーク島のコミュニティが連携して行われた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部