2025年07月
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マンガン生産拡大に向け投資、雇用創出と経済活性化 豪政府

オーストラリア政府は6月17日、北オーストラリア・インフラファシリティ(NAIF)が西オーストラリア州ピルバラ地域におけるブッチャーバード・マンガン・プロジェクトへの支援として最大5000万豪ドルを投資する予定だと発表した。

ピルバラ地域はオーストラリアの鉄鉱石やガス産業の中心地として知られているが、オーストラリア政府の重要鉱物リストに含まれるマンガンの重要な鉱床も存在している。マンガンは鉄鋼や合金の製造に不可欠な金属であり、バッテリー技術の主要材料でもある。

NAIFの融資により、パースを拠点とするエレメント25(Element 25)社は、マンガン精鉱の年間生産量を従来の3倍にあたる110万tへと増強する予定だ。この生産拡大により、ピルバラ地域の総生産が約9億900万豪ドル増加すると見込まれている。

また、プロジェクトは18年にわたる鉱山ライフサイクルを通じて、150人の建設関連雇用と230人の操業関連雇用を創出すると予測されている。エレメント25社は従業員のうち少なくとも10%を先住民、5%をピルバラ地域から採用することを目標として掲げている。

マデレーン・キング(Madeleine King)資源相兼北部オーストラリア担当相は、「ピルバラはオーストラリア経済のエンジンルームであり、本プロジェクトによりこのエンジンは今後何年も動き続けることになるでしょう。このプロジェクトは雇用を創出し、ピルバラの経済を活性化させ、オーストラリアの先住民に利益をもたらします」と述べた。

NAIFはこれまでにオーストラリア北部全体で計32件、総額44億豪ドルの投資を実施しており、ブッチャーバード・マンガン・プロジェクトはその支援対象の1つとなる。オーストラリア政府の重要鉱物戦略の一環として、NAIFは重要鉱物プロジェクトの開発に5億豪ドルの資金を割り当てている。現在、希土類元素、バナジウム、水酸化リチウム、高純度アルミナ、シリコンといった素材の開発計画が進行中である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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