2025年07月
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史上最大カメラ搭載天文台が観測開始、天文学に飛躍的発展 豪メルボルン大学

オーストラリアのメルボルン大学 (University of Melbourne)は6月24日、米国主導でオーストラリアも参加して進められている国際プロジェクト、チリのベラ・C・ルービン天文台が観測を開始し、天文学が飛躍的に発展するだろうと発表した。

ルービン天文台は、直径8mの巨大な鏡と天文学史上最大で32億画素のセンサーを搭載したデジタルカメラを持つ。既存の望遠鏡は一度に撮影できる空の領域がごくわずかだったが、完全に自動化されたルービン天文台の望遠鏡では、3夜ごとに南半球の夜空全体を6つの異なるフィルターで観測画像を撮影する。収集された膨大なデータは、米国・欧州・オーストラリアのデータセンターで処理され、同大学を含むオーストラリア国内の15の大学・機関が優先的にアクセスできる。これにより、天文学者らに天体の明るさや位置の変化に関するアラートが毎日1000万件程度届き、その中には新しい現象の発見につながるものがあると期待されている。

同大学のレイチェル・ウェブスター(Rachel Webster)教授は、「この望遠鏡は、構想から30年、そして10年間の建設を経て、天体物理学における飛躍的進歩をもたらすでしょう」と語る。ルービン天文台は既存の望遠鏡で見ることができなかった宇宙の深部に光を当て、暗黒物質や暗黒エネルギー、超大質量ブラックホールなど光学天文学のほぼすべての分野に影響を及ぼす見込みだ。

オーストラリアはプロジェクトの実現に大きな役割を果たしており、オーストラリアを拠点とするソフトウェアエンジニアが新しいAIツールを含むルービン天文台のコードを開発している。ウェブスター教授は、「米国もオーストラリアも、単独ではこの規模のものを作ることは不可能で、この品質の天文学データセットにアクセスするには、国際的なパートナーシップが不可欠でした」と語る。

この新たな観測体制は、オーストラリアの天文学分野における強みを活かし、若手科学者にとって宇宙の根源的な問いに挑む貴重な機会を提供するものと期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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