2025年10月
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AI研究支援と経済成長目指し7000万NZドル投資 ニュージーランド政府

ニュージーランド科学・革新・技術省は9月18日、人工知能(AI)研究を加速し、商業化と経済成長を促進するため、ニュージーランド先端技術研究所を通じて7年間で最大7000万NZドルを投資すると発表した。

今回の投資は、革新的なAI研究と応用を支援し、世界水準の専門知識を育成することで、ニュージーランドの競争力を高めることを目的としている。発表によれば、この取り組みは研究者と企業を結集し、能力構築と商業化を加速させ、高付加価値の雇用や新しい研究機会を創出することにつながるという。

同省は、既存のAI研究として精密医療や農業の分野における取り組みを紹介した。さらに、カタリスト基金の支援を受けて同国のオークランド大学バイオエンジニアリング研究所と米国テキサス大学オースティン校オーデン研究所が進める共同研究を具体例として挙げた。このプロジェクトでは、国際的なAI知見を活用し、人体のリアルタイムデジタルモデル(デジタルツイン)を開発している。

研究チームは、AIを活用した公衆衛生ソリューションにより年間8000万~1億6000万ドルの医療費削減が可能になると見積もっている。慢性疾患の管理改善を通じて年間最大3200万ドルの病院費用を削減でき、さらにデジタルツインツールから最大1600万ドルのライセンス収入を見込む。

同省は、先端技術研究所を通じた7000万ドルの投資により、このような世界水準の研究を拡大し、ニュージーランド経済を強化するとともに、同国を次世代技術の国際的なリーダーへと押し上げることを目指すとした。

今回の投資は、首相直属の科学技術イノベーション会議の勧告に基づくものである。同会議は最近、AIと新興技術によるデジタル変革と製品イノベーションの専門家であるグラント・ライト(Grant Wright)氏を新たなメンバーに任命した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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