オーストラリア政府は9月29日、シドニーで開催中の第76回国際宇宙会議(IAC 2025)に合わせ、欧州宇宙機関(ESA)との協力協定交渉の開始を承認し、米国との条約レベルの宇宙枠組み協定にも合意したと発表した。
IAC 2025は9月29日から10月3日まで、シドニー国際会議場で開催されている。約90カ国から7千人以上の代表者が参加し、国際宇宙航行連盟が主催、オーストラリア宇宙産業協会がホストを務める。
今回の協定では、ESAとの連携を通じてオーストラリア企業や研究者が欧州の宇宙科学プログラムおよびミッションにアクセスできるようになるほか、欧州側の活動拡大も期待されている。また、米国との枠組み協定によって、政府、企業、研究者が米国航空宇宙局(NASA)などの機関と共同プロジェクトを進める新たな機会が生まれる。
同会議では「オーストラリアゾーン」が設けられ、約450の出展者のうち150の国内組織が参加した。オーストラリアの宇宙産業は年間46億豪ドルの売上を誇り、1万7千人を雇用している。打ち上げ・帰還ミッションや衛星技術、宇宙探査など、多様な分野での成果が紹介されている。
ティム・エアーズ(Tim Ayres)産業・科学担当相は「IAC 2025は、当地での前回開催から8年間でオーストラリアの宇宙分野がどれほど成長したかを示す好機です。展示ホールでは、先端技術の下流産業への応用も含め、オーストラリアの研究成果を発信します」と述べた。アンドルー・チャールトン(Andrew Charlton) 科学・技術・デジタル経済担当副大臣は「宇宙産業は多くの重要産業を支え、全国的に高い生産性と雇用をもたらします」と語った。オーストラリア宇宙庁のエンリコ・パレルモ(Enrico Palermo)長官は「IAC 2025への参加規模は、国際社会がオーストラリアとの協力を望んでいることの証です」と話した。
会期の最終日には一般向けイベント「スペースデイ」が開催され、宇宙飛行士のサイン会や体験型STEMアクティビティが行われる予定で、すでに6千人以上が登録している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部