オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は10月7日、硫化ヒ素鉱物の鶏冠石(As4S4)と石黄(As2S2)が、現在金の探査や重要鉱物資源として幅広く議論に取り上げられていることを紹介した。
鶏冠石と石黄は、古代から鮮やかな色合いと有毒な特性を持つ鉱物として知られている。これらの鉱物に含まれるヒ素は、かつて毒の王様と呼ばれ、その毒性や陰謀、殺人、環境被害との関連から恐れられていた。

鶏冠石見事な橙赤色の硫化ヒ素鉱物である
鶏冠石の燃えるような赤と石黄の黄金色は、驚異であると同時に警告であり、特に画家やガラス職人が生み出す鮮やかな顔料は高く評価されている。伝統的な中国医学では、これらの鉱物は炎症や悪性腫瘍の治療に用いられてきた。アーユルヴェーダでは、それらは寿命を延ばすと信じられてきた。しかし21世紀に入り、ヒ素の物語は書き換えられつつある。かつての悪役が今や重要鉱物の世界における無名の英雄として台頭している。

石黄は鮮やかな黄色の結晶を特徴とするヒ素含有鉱物である
(出典:いずれもCSIRO)
ヒ素は、現代の技術において重要な役割を果たす重要鉱物と考えられている。高純度のヒ素は、スマートフォンや太陽電池などの電子機器向け半導体の製造や、銅や鉛の合金の強化に用いられている。また、鉱物探査において鶏冠石と石黄の出現は、地球化学的指標として金の探査戦略の指針となり、貴重なツールとなっている。エベレスト・メタルズ(Everest Metals Corp. Ltd)社の主任地質学者であるバーマン・ラシディ(Bahman Rashidi)氏は、「鶏冠石と石黄は、美しい鉱物標本であるだけでなく、カーリン型金鉱床や熱水鉱化作用における重要な指標鉱物です」と説明する。
同社は、キックスタートプログラムを通じてCSIROと協力し、西オーストラリア州のマウント・エドン重要鉱物プロジェクトにおいて、ルビジウム、リチウム、セシウムに焦点を当てた地球化学・鉱物学研究を推進している。この提携は、5万豪ドルのバウチャーにより支援され、鉱物回収プロセスの改善、潜在力の高い探査ゾーンの特定、商業用ルビジウム抽出プロセスの開発を目指している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部