東南アジアや豪州で干ばつが長期化へ 気候変動の影響

AsianScientist-長く厳しい干ばつが東南アジアで広がると予測されている。

世界の多くの地域で気候変動の影響が現れている。そのひとつが長引く厳しい干ばつである。中国の研究者たちは、過去のデータと最近発表された気候予測データを用いて、干ばつのパターンとその伝播を予測する研究をAtmospheric and Oceanic Science Letters 誌に発表した。

世界中での気温上昇とともに熱波や干ばつに見舞われる地域が増加している。農業などの分野で経済的損失をもたらすとともに、熱帯雨林や河川、海洋などの生態系を維持する水の利用も減少し、環境問題が発生している。中山大学大気科学部のシュレイ・ザン (Shulei Zhang) 博士が率いる研究チームは、3種類の干ばつの伝播と関係について調査した。3種類の干ばつとは、気象学的干ばつ(降雨など大気中の水分発生量の不足)、水文学的干ばつ(湖、地下水、貯水池の流出や水位)、農業的干ばつ(土壌水分)である。

研究チームはまず、1901年から2014年までの過去のデータを用いて、これら3種類の干ばつを定量化した。同時に、最近公開されたCMIP6データ(気候モデルの結果を調査する試験的枠組みの基準)から、気候モデルを使った2015年から2100年までの予測データも調べた。これらのデータを調べたところ、東南アジア、アマゾン流域、オーストラリアなど一部の地域では、干ばつが激化し、長期化することが分かった。一方、高緯度地域やアフリカ中央部などでは、逆に湿潤化が進む。

さらに研究チームは、3つの種類の干ばつはすべて同じような地域で発生すると予測されるものの、気象学的干ばつは水文学的干ばつや農業的干ばつと比較すると一層厳しく、伝播もより広範囲に及ぶことを発見した。つまり、雨不足が長く続くと水不足はさらに広まり、消費や農業に利用できる水の量が減るなど、次の問題につながる可能性が出てくる。そこでチームは、気象学的干ばつの強度と期間が増加すれば、やがて水文学的・農業的干ばつも増加するのではないかと考えた。

チームは、湿度の高い地域では、気象学的干ばつが、最終的に農業的干ばつと相関していることを発見した。この関係は、より長い時間スケールで見るとより明らかになり、降雨量が少ないと土壌の保水力が低下する可能性があることを意味している。

チームは、干ばつのパターンと強度を理解し、予測の適切性を上げることで、このモデルと生成されたデータを正確性と堅牢性の高い干ばつモニタリングシステムと早期警報システムを構築する第一歩として活用し、ますます悪化していく気候変動の影響に対応し、緩和を図ることができると確信している。

(2022年05月16日公開)