【AsianScientist】生態学・進化生物学の分野に女性科学者が少ない理由

ある調査により、女性科学者の数は今でも生態学・進化生物学の分野で少ないことが分かった。(2023年8月2日公開)

Frontiers in Environmental Science誌に掲載された最近の調査によると、生態学・進化生物学の分野では、女性科学者の数は今でも少ない。

科学の分野では、有名な学術誌に発表することで、資金が多く提供されたり昇進への扉が開かれたりすることは少なくない。また、一般的に言って、これは大きな影響力を持つ研究の指標でもある。しかし、典型的かつ無意識の偏見に基づき権威ある学術誌への掲載が決定され、他の研究者から引用される回数が高くなるのならば、それは科学よりも研究者の活動拠点や社会的立場の方が重要ということになる。

女性や少数民族は一般的に科学のあらゆる分野で存在感が薄いが、生態学・進化生物学におけるこの傾向は特に憂慮すべきことである。なぜなら発展途上国には多くの生物多様性が存在しており、それらを保護するには現地の専門家が不可欠であるためである。皮肉なことに、先進国の主な研究者の多くが発展途上国に活動拠点を持っている。

論文の著者らはこの調査のために、生態学・進化生物学の研究者に焦点を当て、H 指数が 30 以上の「トップ」研究者 5,419 人の公開リストを分析した。H 指数は、科学者の一連の研究の影響の尺度として利用されることが多い。H指数が30ということは、30 の論文が少なくとも 30 回引用されていることを意味する。

Asian Scientist Magazine 誌は、この調査の共著者の1人でドイツ統合生物多様性研究センターのポスドク研究員であるスリータマ・バドラ (Sreetama Bhadra) 氏に話を聞いた。バドラ氏は 「このリストが発表されたとき、私たちはそれに目を通したのですが、すべて白人男性でした」と語った。「女性はどこにいるのでしょう?」

トップ研究者の半数以上は米国、英国、またはオーストラリアを拠点として活動していた。残りの研究者の大部分は欧州諸国、カナダ、オーストラリアで活動を行い、研究者の6人に5人が上位12カ国を主な活動場所としていた。国の1人当たりの国内総生産(GDP)は、トップ研究者の数と女性科学者の割合と相関していた。1人当たりGDPが7,000ドル未満で、トップの究者が 5 人以上いる国はインドだけであった。リストに掲載された7人のインド人研究者のうち、女性は1人だけだった。これは、トップ研究者の全リストに占める女性の割合でもあった。

南米諸国の場合、地域の女性科学者の割合は他のほとんどの国よりもはるかに多かったが、トップ研究者の数そのものがほとんど見られなかった。この調査を行った者は、発展途上国の国々であっても、トップ研究者の多くは白人男性であると指摘した。特にアジアでは、豊かな熱帯地域と、グローバルな才能を惹きつける急速な新興経済圏の両方が存在するため、その傾向は顕著である。

シンガポールでは、トップ研究者の2人に1人が白人男性であった。香港とインドネシアでは、トップ研究者の3人に2人が白人男性であった。この点において、中国はトップ研究者の20人中19人がアジア人であった。これは、中国が地元の人材をうまく支えていることを示している。しかし、中国のトップ研究者82人の中に南アジアの研究者はいなかった。

近年、多くの研究者がオープンアクセスジャーナルを利用するようになってきている。しかし、オープンアクセスジャーナルは投稿料が高額であることが多く、発展途上国の研究者にとっては法外な費用がかかる。そのため、途上国の研究者の論文はあまり目立たないものとなっている。投稿料という障壁に対処するには、政策介入とインセンティブが必要である。

加えて、科学誌の編集者には、多様性を持たせるべきである。研究機関や国のレベルでは、女性や少数民族の科学者をうまく支援できる仕組みが必要である。バドラ氏は、インドその他の発展途上国の研究成果を向上させるには能力構築が解決策であると述べた。

「先進国から科学者を連れてくれば解決できるというわけではありません。先進国の科学者との協力を促進できれば、その方が良いでしょう。なぜなら私たちにアイデアがないわけではないからです」とバドラ氏は付け加えた。

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