【AsianScientist】ローズウッドの個体群はアジアでバラ色の未来を開く«動画あり»

ローズウッドの違法伐採は生物多様性だけでなく、森林地帯に居住する人々にとっても脅威になる。「生物多様性インターナショナル・国際熱帯農業センター同盟」はこの脅威と闘うために、研究室で、そして農業従事者と協力して取り組んでいる。(2023年10月30日公開)

緑生い茂る森の中にはローズウッドがたたずむ。その豊かで深みのある色調と時代を超越した美しさは世界中を魅了し、誰もが求める宝となっている。ローズウッドの木材は、高級家具や、エルヴィス・プレスリーやボブ・ディランの手を飾った象徴的なギターの製造に使用されてきた。しかし、この業界は違法伐採という暗い影により脅かされている。2005 年以来、世界の野生動植物の違法取引の中でローズウッドはそのトップとなっている。

西アフリカでは、ローズウッドの伐採はどこで行われても、森林を乾燥させ、砂漠化や森林火災の危機を招き、深刻な脅威をもたらす。場合によっては、伐採者が最大の利益を得ようとしてローズウッドの木の根そのものを抜き取ることさえある。これにより根系が破壊され、近隣の村落は浸食関係の危機にさらされやすくなる。

しかし、ローズウッドの取引を禁止すれば解決するという単純な話ではない。ローズウッドは多くの国々において明らかに経済的重要性を持つ。アジア太平洋地域だけでも違法木材取引は推定年間110億米ドルに達し、地域の木材製品貿易総額の約30%となっている。

伐採をロックダウン:既存の解決方針

ローズウッドの木は「森の象牙」として知られ、250種類が、現在、2016 年国連絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)(CITES) 決議に基づいて保護されている。現在までに、世界195カ国のうち183カ国がこの国際条約に加盟しているが、条約の施行は各国に任されている。

ローズウッドの需要が高いのは主に中国である。2014 年がこの業界のピークであり約260億米ドルの取引が行われた。2020年、全体の需要は2014年の5分の1に減少したが、絶滅危惧種であるアジア産ローズウッドの入手が困難になったため、アフリカでの新種の取引に移行した。それでも、2020年に中国が輸入したローズウッドのほとんどはCITEに含まれる保護種であった。

一部の国では、特定の種のローズウッドを保護する法律を定めている。例えば、カンボジア政府は 2013 年にサイアミーズ・ ローズウッドの伐採と輸出を禁止した。2007 年にはベトナムも同じサイアミーズ・ローズウッドについて、個人による出荷と保管を禁止した。

しかし、これらの法律を破った場合の罰則があっても、違法伐採を阻止できるというわけではない。中国では、ローズウッドの違法伐採に関する法規制が広範囲にわたるため、執行機関による実施が困難となっている。さらに、業界基準がサプライチェーン全体を対象としていない可能性もあり、ローズウッドの供給源を追跡することは難しい。

種に根ざしたソリューション

「生物多様性インターナショナル・国際熱帯農業センター同盟」(Alliance of Bioversity International and the International Center for Tropical Agriculture (CIAT))は、農業従事者によるローズウッドの種子と苗木(1キログラムあたり最大250ドルの価値がある)の生産が持続可能なものになるよう支援して、絶滅の危機に瀕しているローズウッドを回復させようとしている。このプロジェクトの設計と実施は、国立研究機関(カンボジア森林野生生物研究所およびラオス国立農林研究所)と緊密に連携して行われた。

同盟の科学者であるリーナ・ヤロネン (Riina Jalonen) 博士は「私たちはカンボジアで小さな種苗場を作った農業従事者と協力しました。この人はこれらの苗木を生産して販売すれば、実際にかなりの収入になることに気づき、それが主な仕事になりました」と語った。

しかし、種子の質と量の両方が依然として課題となっている。大規模な伐採により、種木は自然環境から消えてしまった。ヤロネン博士は、野生のローズウッドの個体群が減少しているため、ローズウッドの数の回復に不可欠な遺伝的多様性の多くも失われていると話してくれた。

同盟とその協力者たちは苗木生産の成功を見据えて、苗木が適応性に必要な遺伝的多様性を維持しつつ良好に成長するよう、研究を活用して農業従事者を支援し、研修を施している。

「農業従事者と協力して新しい種子供給源を確立し、素材の遺伝的多様性を考慮すれば、将来、さまざまな環境に対応できる種子を得ることができるでしょう」とヤロネン博士は述べた。ローズウッドを植林している農業従事者、企業、その他土地利用者は、素材の品質は産業の長期的な存続、成長、回復力にとって重要であると理解する必要がある。

種子の入手可能性を求めて手を広げる

同盟は、アジア諸国の国家単位の再生目標の実施にあたり、在来種の種子供給源が十分残っているか否かを評価する新たなプロジェクトに着手した。

ヤロネン博士は「再生目標を特定する前に、再生実施者や政策立案者に対し、種子の入手可能性を改善する必要があるという意識を持たせるべきです」と述べた。

現在、このプロジェクトは、再生が求められるが遺伝的に多様な種子供給源が不足している地域を特定するために、バングラデシュ、インド、インドネシア、フィリピンで実施されている。再生対象地域の環境条件と、うまく適応する種子供給源を照合し、苗木の生存と生育の確実性を高める。再生実施者は、新たに開発された種子ゾーン・マップと種子供給源の登録制度を利用してプロジェクトのニーズや現場の状況に適した種子や苗木を選び、見つけることができる。

何といっても、個人消費者が家具の製造に使用された木材の産地を追跡することは困難である。ヤロネン博士はAsian Scientist誌に対し、持続可能性を高めるためには、企業を持続可能性の高い木材製品の調達と生産に向かわせるような規制の枠組みやメカニズムを開発し、実施する必要がある、と語った。

上へ戻る