研究チームは、研究結果から、多くの女性に運動を奨励することができるかもしれないと述べる。(2024年5月29日公開)
最近、ある研究がJournal of the American College of Cardiology誌に発表された。それによると、女性は男性の約半分の運動量でも得られる健康上の利点は同じであることが分かった。
男性と女性は運動に対して異なる生理学的反応を示すが、運動が健康に与える影響は明確ではなかった。それを明らかにするために、この研究は、アメリカ人成人の大規模コホートについて、自己申告による運動習慣と、全死因および心血管死との関連性について性別の違いがあるのか調査した。これは多施設共同研究であり、北京の清華大学臨床医学院やロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ医療センター(Cedars-Sinai Medical Centre)のスミット心臓研究所(Smidt Heart Institute)その他の研究者たちも加わった。
研究チームは、1997年から2019年にかけて国民健康聞き取り調査 (NHIS) に参加した成人41万2,413人のデータを収集した。このデータには、参加者の背景情報および医療情報、ならびに期間中に行った定期的な身体活動の頻度、期間、種類に関する標準化されたアンケートが含まれていた。
2019年末までに、39,935人もの参加者が亡くなった。死因にはあらゆるものが含まれていたが、11,670人が心血管疾患に関連していた。男女ともに運動が早死のリスクを低下させることがわかっている。しかし、調査データによると、男性の運動量は常に女性よりも多く記録されているが、運動の利益を多く得ているのは女性であった。
結果として、男性は死亡リスクを18%低下させるためには毎週300分の有酸素運動が必要であるのに対し、女性はわずか140分の運動で同じ生存利益を得ることが示された。さらに、毎週300分の有酸素運動を行った女性は、死亡リスクが24%減少した。
筋力強化運動に関しても同様の分析が行われ、その結果、女性が週1回筋力トレーニングをすると、男性の週3回のトレーニングと同等以上の生存利益をもたらすことが分かった。論文の共同執筆者である清華大学のホンウェイ・ジー (Hongwei Ji) 博士はGuardian誌に対し、「私たちの研究は、女性はあまり運動しなくてもよいと述べているのではなく、さまざまな理由で十分な運動ができない女性たちに対し、比較的わずかな運動でも大きな利益をもたらす可能性があると奨励しているのです」と語った。
研究者たちは論文の中で、筋肉量、肺活量、心肺系など、性別に関連する生理学的差異がこれらの観察結果を説明するものであろうというという一致した意見を見せた。研究の共同執筆者であり、ロサンゼルスに所在するシーダーズ・サイナイ病院の予防心臓病学部長であるマーサ・グラティ (Martha Gulati) 博士は、TIME誌に対し、この研究は他の研究と同様に、性別による違いを研究や公衆衛生政策に組み込む必要性を力説するものであると語った。身体活動に関する現在の連邦ガイドラインは、米国の成人全員に対して同じ推奨事項を提供している。
グラティ博士は「長年、私たちは男性を基準としてきました」と言う。
アメリカ人集団に限定していること、運動に関するデータは自己申告に頼っていること、家事や仕事などといった日常行われる他の身体活動の形態が考慮されていないことなどの限界があるため、今回の発見を検証するにはさらに調査が必要となるだろう。