今年の国際女性デーは、アジアの人々に力を与えるエネルギッシュな女性研究者たちを賞賛している。(2025年4月8日公開)
今年の国際女性デーを記念して、Asian Scientist Magazine 誌は、画期的な研究、恵まれないコミュニティへの貢献、2024年のアジアにおけるリーダーシップが評価され受賞した6人の女性科学者を紹介する。
ヤン教授は、細胞膜を介したイオンと糖の移動を仲介する複数の膜たんぱく質の原子構造を発見し、膜間輸送を司る原理を明らかにしたことが評価され、2024年ロレアル-ユネスコ女性科学者国際賞のアジア太平洋地域部門を受賞した。彼女の卓越した研究は、てんかんや不整脈など複数の疾患に影響を与え、疼痛症候群の治療を導いてきた。この分野の第一人者であるヤン教授は、世界中の女性科学者に刺激を与え、研究と科学教育における男女平等の強力な擁護者である。
リュウ助教授は、化合物ライブラリの生成、天然物の操作、リード化合物の最適化など、創薬に不可欠なファインケミカルの世界的な需要を満たそうと研究を続け、2024年クラウチャー・タク・ワー・マック・イノベーション賞を受賞した。彼女のチームは、ホウ素を使う戦略を採用し、新薬開発にかかる時間とコストを削減しようとしている。さらに、リュウ助教授は、化学合成に伴う環境への影響を低下させようと、持続可能性についても取り組んでいる。
ファルハン氏は、スマトラ島のルセル生態系を保護し、地元のコミュニティに対し自身の未来を守る力を与えるというHAkAの活動を率い、2024年のラモン・マグサイサイ賞を受賞した。2004年にユネスコ世界遺産に指定されたにもかかわらず、ルセル生態系は森林破壊、インフラ建設、商業化、法執行の弱さを原因とする荒廃が止まらない。HAkAは、生態系を守るならば政府だけに頼るのではなく、地元の人々、特に女性の力を活用して、積極的な擁護キャンペーンや森林監視を行い、地域社会に権限を与えるべきと考えている。HAkaは、ルセル生態系の森林を焼き払ったパーム油会社に対して2,600万ドルの罰金を科す判決を勝ち取り、ゾウの生息地を脅かす水力発電ダムの建設を阻止するという貢献も行った。この資金は地元政府によって被害地域の復興に使われた。HAkAはそのプログラムで、女性を対象としたパラリーガルや市民ジャーナリズムの研修を行っている。また、密猟や違法伐採を監視するために森林地帯を巡回するレンジャーグループを率いる女性たちもいる。
バーマン氏は、オオハゲコウとその湿地生息地を保護する活動により、2024年ホイットリー・ゴールド賞を受賞した。バーマン氏がコウノトリの保護活動を始める前、オオハゲコウ、または「ハルギラ」(インド・アッサム州におけるオオハゲコウの名)の数はわずか450羽ほどであった。アッサム州の場合、オオハゲコウの自然生息地は道路や携帯電話基地局の建設により破壊された。バーマン氏たちは地元のコミュニティ、特に女性と協力して、オオハゲコウの巣を守るための「ハルギラ軍」を結成した。ハルギラ軍は、巣から落ちて負傷したオオハゲコウを回復させ、新しい雛の誕生を祝って「ベビーシャワー」を開催する。この活動により、オオハゲコウの数は4倍の1,800羽以上に増加した。バーマン氏は、インドとカンボジアのオオハゲコウの生息域全体で活動し、2030年までにオオハゲコウの個体数を2倍の5,000羽に増やすことを目標としている。
フォン氏は、ベトナム戦争で使用された枯葉剤の壊滅的な影響との戦いを率いた功績により、2024年ラモン・マグサイサイ賞を受賞した。フォン氏は、生殖医療ソリューションの先駆者である。被害者のために正義を求め続け、被害家族に希望を与えてきた。ベトナム戦争中に医師になったフォン氏は、新生児が重度の異常を持って出生したのを目撃し、深いショックを受けた。これがきっかけとなり、フォン氏は枯葉剤の真実を明らかにし、研究を通じて被害者を助け、ベトナム枯葉剤被害者協会とともに活動することに人生を捧げてきた。フォン氏にとって、戦いの場は研究室だけでない。国際舞台も同様である。彼女は米国公衆衛生協会などで枯葉剤被害者の訴えを述べ、化学薬品会社に補償を求める法的行動を支援してきた。
リュウ教授は、有機化合物であるカルバゾールの発光特性が室温において見せる異性体の役割を発見したことで、2024年の大統領科学賞を受賞した。リュウ教授の研究は、有機半導体の光学特性に新たな機会と応用を開いた。リュウ教授は、水性溶液中の有機半導体を専門とし、バイオメディカル研究、セキュリティ、電子機器への応用に重点を置いている。近年は、高感度の発光分子プローブやナノ粒子プローブとして使用できる生体適合性発光化合物の研究に取り組んでいる。この技術は、化学物質や生物学的プロセスの非侵襲的追跡を改善できる。リュウ教授は、次世代の研究リーダーを育成し、さらに多くの女性が工学や科学の分野でキャリアを積むよう奨励することにも情熱を注いでいる。