「世界の課題解決に貢献を」 OWSD-エルゼビア財団賞にアジアから2人

発展途上国の若手女性科学者を表彰する同賞にスリランカとモンゴルの研究者2人に授与された。

AsianScientistアジア出身の研究者であるコンゴゾル・ドージゴトフ(Khongorzul Dorjgotov)博士とイマルカ・ムナウィーラ(Imalka Munaweera)博士が2021年OWSD-エルゼビア財団賞の受賞者5人に名を連ねた。2月9日に開かれたアメリカ科学振興協会(AAAS)の年次会議で発表された。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の最新報告によると、21世紀に入ってもなお、女性研究者たちには、性差によるバイアスが存在すると言われている。同じ条件下にある男性研究者に比べ、女性研究者への助成金額は少ないうえ、インパクトのある雑誌での発表や昇進の可能性も低い。

競争性のある科学界で成功することには挑戦を伴うが、リソースが乏しく、また男性優位の規範が特に強い傾向の国の女性研究者は、キャリアを積む中で、さらなる障害にぶつかることが多い。こうした要因を考慮して、発展途上国の若手女性科学者の業績を高めるため、OWSD(発展途上国の科学における女性のための組織)とエルゼビア財団が同賞を2012年に共同創設した。

今年の受賞者5人のうち2人はモンゴルとスリランカ出身で、残りの3人はガーナ、グアテマラとパレスチナ出身の研究者だ。モンゴル国立大学でシニア講師を務めるドージゴトフ博士は、金融数学と数学モデリングへの貢献が評価された。

「大学で勉強するにも公的機関や会社に勤めるための機会が平等であっても、そこから昇進して意思決定に参加することはとても難しいです。私は自分の意見を聞いてもらうことにとても苦労しました。女性の声はほとんどの人に取り合ってもらえません。これからはその考え方が変わり、私の話も尊重されるようになることを願っています」とドージゴトフ博士は今後の改善に期待を表明した。

ムナウィーラ博士は、合成化学・材料合成の研究が認められた。具体的な研究対象は産業用途のもので、さまざまな機能性素材、ナノ粒子、ナノ複合材料の作成が中心となっている。

「この賞を獲得したことは私の人生の中でも最大の成果です。世界の重要な課題に解決策を生みだせるよう、影響力のある研究をこれからも行っていきたいです」とムナウィーラ博士は意欲を見せた。

OWSDとエルゼビア財団の協力により、受賞者には5千米国ドルの賞金が授与される。例年なら米国科学振興協会(AAAS)年次総会への渡航費も支給されるが、今年の総会は、現状を鑑みてオンラインで行われた。

OWSDのジェニファー・トムソン(Jennifer Thomson)会長は、「毎年、受賞者を選ぶ際、候補の女性研究者たちのそれまでの実績、そして母国の科学を絶えず前進させる努力と献身に驚かされます。そのような女性たちこそ、真に認められるべき存在であり、そこにささやかながら貢献できれば幸いです」とコメントした。

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