岩手大・石村氏ら、アジアから4人選出 2021年ピュー・マリンフェロー

日本、インドネシア、シンガポール、中国の4人の研究者が、ピュー・マリンフェローとして海洋に関する最も重要な課題に取り組む。

AsianScientist ― 米国の非政府助成財団「ピュー・チャリタブルトラスト」(Pew Charitable Trusts)は3月31日、2021年における海洋保護に関するピュー・フェロー(Pew Fellows in Marine Conservation)に、アジアの4人の科学者を選出した。

世界中の科学者がCOVID-19との戦いを果敢にも主導する一方で、欠くことのできない重要資源である海洋の保護についても、多くの科学者が忙しい日々を送っている。30億人近い人々が生活の糧として直接的に依存する海洋を保護することは、人命を守ることとほぼ同義だ。ピュー・チャリタブルトラストは、海洋に関する最も重要な課題に取り組む必要性から、1990年に海洋保護に関するピュー・フェロープログラムを開始した。

毎年、このフェローには海洋保護に取り組む、卓越した研究者が推薦されている。海洋科学の専門家から構成される国際委員会の厳しい審査を経て選ばれた各ピュー・フェローには、自らが提案したプロジェクトを実行するため3年間で150,000米ドルが支給される。今年は9人のフェローが選出され、うち4人がアジアの研究者だった。

このアジアからの研究者は、石村学志(岩手大学准教授)▽メイ・リン・ネオ(Neo Mei Lin、シンガポール国立大学シニアリサーチフェロー)▽トライズ・ブランディン・ラザク(Tries Blandine Razak、インドネシア、ボゴール農科大学リサーチフェロー)▽ワン・ソンリン(Wang Songlin、中国、青島海洋保全協会会長兼創設者)-の各氏だ。

各フェローが取り組むテーマは、海洋保護または持続可能性のいずれかに関連する。まず、石村氏は、漁業が異常事態にどう反応するか、そしてこの知識を社会経済の弾力性および持続可能性の促進にどう生かせるかを調査する。石村氏は、COVID-19のパンデミックに対する最近の業界の反応や、2011年の東日本大震災が本州の人々にもたらした影響などをきっかけにこのテーマに取り組み始めた。

ネオ氏は、人間によるオオジャコガイの消費の脅威に危機感を募らせ、この地域におけるオオジャコガイ減少の主な要因を調査する。東南アジアは、オオジャコガイ種の高度な多様性を持つ世界で数少ない地域の一つだが、この無脊椎動物の個体数は年々減少している。ネオ氏は、調査結果をオオシャコガイ保護のための実行可能な提言としたい考えだ。

ラザク氏は、データサイエンスと研究室での調査を組み合わせ、インドネシアのサンゴ礁の長期的な回復を促す方法や条件を調査する。この調査結果を基に、政府が理想的な回復区域の設定に使用する空間計画を策定する予定。

最後にワン氏は、中国のさまざまなステークホルダーと協力し、渤海の海草藻場、アマモ場の効果的な管理戦略を策定する。2015年に発見されたこのアマモ場は広さ約20平方マイルと中国最大規模で、「天然のカーボンシンク」と呼ばれているが、これまで法的な保護や保全の計画は実施されていない。

その他のフェローは、米国、パナマ、カナダ、フランスの出身者が選ばれた。プロジェクトの開始以来、40カ国以上の189人のフェローを任命されてきた。

ピュー・チャリタブルトラストの環境科学ディレクター、レベッカ・ゴールドバーグ(Rebecca Goldburg)氏は次のように述べる。

「ピュー・マリンフェローの活発なコミュニティーに、新たな専門家を迎えることができて光栄です。この方々は、世界中の海洋の保護および管理のニーズに直接対応する刺激的な新しい研究プロジェクトに取り組んでいます。これから皆さんとともに仕事ができることを楽しみにしています」