特徴持ったアジアの大学が上位に - 2021年版研究分野別QSランキング

アジアの大学は、高等教育の新たなグローバルリーダーとして、2021年の研究分野別QS世界大学ランキングで着実な進歩を遂げている。

AsianScientist - これまでの大学ランキングにおいては、欧米の大学が中心であったものの、ロンドンの教育コンサルタント会社Quacquarelli Symonds(QS)が発表した「研究分野別世界大学ランキング」において、アジアの大学が躍進していることが明らかになった。

2020年に完成した2021年版QS世界大学ランキング(WUR)は、COVID-19が世界に影響を与える直前の高等教育の状況について、独自の洞察を示している。一方、2021年3月に発表された「2021年QS研究分野別ランキング」は、パンデミックが高等教育に与えた破壊的な影響を反映している。大学の活動が大きく変化する中で、これらの指標は大学が今後どのように適応し、回復していくことができるかを評価するための基準となるかもしれない。

特にアジアの大学にとって、2021年のランキングは歴史的な出来事であり、世界のトップ100に26機関がランクインし、アジアに関する新たな記録となった。今回のランキングから得られた5つのポイントを紹介する。

1. 中国、シンガポール、香港の大学がアジアの上位に選出

2021年のQS WURには、中国から50以上の大学がランクインしているが、中国はイギリスに次いで3番目に多くランクインしており、数の多さが強みでもあると見られる。

シンガポールでは、主要大学であるシンガポール国立大学(NUS)と南洋工科大学(NTU)が、アジアを代表する地位を維持している。具体的には、NUSは11位を維持し、NTUは13位にランクインした。

一方、昨年よりも順位を上げたのは、トップ15に入った中国の清華大学、22位の香港大学、27位と続いた香港科学技術大学(HKUST)である。

2. マレーシアと台湾の大学が特定の研究分野において急上昇

多様な分野で活躍する台湾大学は、教育、土木・構造工学など8つの分野で世界トップ50に入り、全体では最高位の66位にランクインした。

マレーシアの大学も同様に工学分野において健闘している。例えば、マラヤ大学は電気・電子工学分野で43位と健闘しており、ペトロナス工科大学(23位)とマレーシア工科大学(41位)は石油工学分野でマレーシアの強みを発揮している。

マレーシアの大学は、7つの分野で合計8校がトップ50にランクインした。そのうち6校は今年からランキングに加わったばかりで、それぞれの分野で高い評価を得ている。

3. シンガポール、韓国、日本は、生命科学と医療の分野におけるインパクトある取り組みを推進

COVID-19が現代における最大の公衆衛生問題となることが予想される中、生命科学と医学に関する大学での研究プロジェクトは、パンデミックやその余波、その他の差し迫った健康関連の問題への対処に影響を与える重要な位置にある。

例えば、昨年、デューク-シンガポール国立大学医学校の研究者は、COVID-19に感染したことがないにもかかわらず、SARS-CoV-2に対するT細胞保護免疫を持つ人がいることを発見した。他にも、東京大学の研究者たちは、CRISPRを用いてアルツハイマー病の発症に欠かせない新しい遺伝子を特定してアルツハイマー病の問題に取り組んでいる。

生命科学・医学分野のアジアのトップ大学は、主にシンガポール、韓国、日本であり、シンガポール国立大学が世界第27位、ソウル国立大学が第28位、東京大学が第33位にランクインした。これらの大学は、インパクト重視の研究プロジェクトを推進することで、研究成果の評価指標によって示される学術的な高評価を得ている。

4. シンガポールと香港、国際パートナーシップで力を発揮

研究成果は、大学全体の業績を示す強力な指標だが、上位の大学を特に際立たせるのは国際パートナーシップの観点である。

QSの研究分野別ランキングでは、シンガポール国立大学、南洋理工大学、香港大学、香港中文大学の国際共同研究プログラムがアジアのプログラムの20%を占めている。香港とシンガポールの大学は、国際的な協力関係を築くことで、個々のプログラムにもその恩恵が及んでいる。

近年、アジアの大学は上昇傾向にあり、世界の高等教育において信頼される大学としての地位を確立しつつある。2021年のランキングで順位を落とした日本やフィリピンの大学にとって、今回の評価は必ずしも全体像を示すものではないが、改善に向けての後押しにはなる。

5. ベストプラクティスに学ぶ

教育の質を高めるためには、トップ大学のベストプラクティスを見習うべき点があるかも知れない。

例えば、先進的な教育機関では、一般的に教員や研究のための国際的なネットワークが構築されている。アジアとグローバル・コミュニティを結びつけることで、これらのコラボレーションは専門知識を共有し、より野心的で大規模なプロジェクトを実現する機会となる。

さらに、トップレベルの大学は政府から数十年にわたり重点的な予算措置を受けているが、就職や研究、イノベーションにおいてこれまで以上の成果を上げるため、産業界とのより強い連携の道を模索している。このような分野に注力することは、大学のスコアを高めるだけでなく、大学における継続的なブレークスルーを促す重要な役割を果たすだろう。