台湾大学(NTU)は、化学工学部のケビン・ウー(Kevin C.W. Wu)教授が率いる研究チームが、デンキウナギのイオンチャネルからヒントを得て、高性能な浸透圧発電装置を開発したと発表した。
写真提供:台湾大学(NTU)化学工学部のケビン・ウー教授
イオン勾配を利用して電気を発生させる手法は、海洋資源の持続的な利用方法として注目を集めている。だが、イオンを選択的に透過させるために用いられるナノ多孔質薄膜の不規則な構造により生じる物質移動抵抗性により、従来の方法では性能に限界があった。ウー教授らはこの問題を解決するため、デンキウナギが持つイオンチャネルを模した金属有機構造体(UiO-66-NH2)を用いたナノ多孔質膜を作成した。この金属有機構造体の膜を規則的な構造を持つアルミナナノチャネル膜(alumina nanochannel film)の上に形成した浸透圧発電装置は、従来にない水準のイオン透過速度と陰イオンに対する選択性を示した。
チームは、この技術をさらに発展させれば、海水淡水化等の先進的な分離技術やエネルギー分野に活用できると期待している。
この研究は台湾科学技術部の研究支援プロジェクト「Shackleton Research Project」の支援を受けている。研究の成果は3月3日付でScience Advancesに掲載された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部