新型コロナの治療薬特定でバイオセンシングプラットフォーム開発 台湾とマレーシア

台湾の陽明交通大学は5月6日、マレーシアのマラヤ大学等との共同研究により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染を抑制できる可能性がある医薬品を迅速にスクリーニングできるバイオセンシングプラットフォームを開発したと発表した。これにより、既存薬を転用(repurposing)した治療薬開発を効率化できる可能性がある。研究の成果はBiosensors and Bioelectronics誌に発表された。

SARS-CoV-2は、アンジオテンシン変換酵素2(angiotensin-converting enzyme 2: ACE2)受容体と結合することで人間の細胞内に侵入すると考えられている。今回開発された電気化学インピーダンス分光法(Electrochemical Impedance Spectroscopy: EIS)に基づくバイオセンシングプラットフォームは、SARS-CoV-2とACE2の結合を妨げる低分子阻害薬を、少ないサンプル量(1マイクロリットル)で、わずか15~20分以内で特定できる。

チームはさらに、血圧を下げる作用を持つ「ACE阻害薬」と呼ばれる種類の薬剤に対するスクリーニング実験を行い、特定の構造を持つACE阻害薬が、SARS-CoV-2とACE2の結合を有意に抑制することを発見した。

主な研究者の1人であるマラヤ大学医学部薬理学科のリクブーン・キュー(Lik-Voon Kiew)准教授は、このプラットフォームで特定された医薬品候補の臨床的な有効性を評価するため、さらなる研究が必要であると述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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