冠動脈硬化症の予防につながるmRNAのメカニズムを発見 台湾・米国共同研究チーム

台湾の陽明交通大学は5月7日、台湾と米国の共同研究チームが、心臓の冠動脈硬化症の発生にメッセンジャーRNA(mRNA)のメチル化が関与していることを発見したと発表した。新型コロナウイルスワクチンで脚光を浴びたmRNA技術を用い、冠動脈硬化症の新たな治療法の可能性を示す画期的な発見となる。

論文は、米国科学アカデミー紀要 (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)誌に掲載された。

研究を行ったのは同大学と、台北栄民総医院(Taipei Veterans General Hospital)の研究者で米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California San Diego)元教授のチェン・シュ(Chien Shu)氏らからなる研究チーム。

冠動脈硬化症は血管内にプラークが形成されることで血流が悪くなる、慢性の炎症性疾患である。狭心症や心臓突然死の原因となるが、既存の治療法は効果が限られており、有効な予防法も確立されていない。

同チームは血管内皮のmRNAのメチル化について調べ、発病プロセスのシミュレーションや臨床標本を用いた研究により、この現象が冠動脈硬化症の病理発生に大きく関与していることを突き止めた。また、動物実験により、遺伝子治療によってプラークの蓄積を減少させ、粥状動脈硬化を効果的に予防できることを示した。

今後、は安全で効果的な治療薬や遺伝子治療法への応用が期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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