民主的なデジタル秩序構築で日米豪印戦略対話の役割を強調 新アメリカ安全保障センター

新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)は5月27日、「インド太平洋における自由主義的デジタル秩序の推進(Advancing a Liberal Digital Order in the Indo-Pacific)」と題した報告書を発表し、アジアの5Gインフラとデジタルエコシステムの構築における中国の影響力への懸念とともに、自由主義的な秩序の構築に向け米国と民主主義諸国が取るべき対抗策を論じた。

アジアのデジタル秩序形成において中国が中心的な役割を占めていることは、米国や米国と協力関係にある民主主義諸国にとって、ネットワークのセキュリティ侵害や、中国に有利な標準規格の策定、市民の自由の侵害といったリスクをもたらす可能性がある。特に懸念されているのが、中国が急速に進出している5G通信ネットワークや光海底ケーブルといった基幹的な技術の安全性である。

主要な技術の安全性を確保するには、日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue: Quad)の3月の首脳会談で発表された作業部会を活用する必要がある。また、韓国や台湾といったインド太平洋の他の技術先進国との密な連携も重要である。米国とこれらの国々がリソースや技能を集結し、デジタル技術の利用に関する合意に基づく基準やガイドラインを策定できるかどうかによって、技術が自由で開かれた社会を促進するか、独裁体制の強化に利用されるかが決まると報告書は述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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