台湾の中央大学(NCU)は5月31日、1月に打ち上げに成功したキューブサット衛星「IDEASSat(飛鼠)」の経験に基づき、ジョウ・ジンヤン(Jing-Yang Jou)学長とHelioX Cosmos Companyのチャン・ファイチェン(Huai-Chien Chang)CEOが、深宇宙および月探査計画に関する協力覚書(MoU)を締結したと発表した。
NCUはこのパートナーシップを通じ、深宇宙探査のための搭載機器(ペイロード)を設計し、民間事業者による月探査計画で実証することを計画している。HelioX Cosmosは、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)から民間事業者に選定されている宇宙サービス企業Space BDの独占代理店である。
MoUを締結した関係者(写真提供:NCU)
NCUの宇宙飛行物理学・工学研究センター(Center for Astronautical Physics and Engineering: CAPE)所長のリウ・ジャンイェン(Jann-Yenq Liu)教授によると、近年、世界では将来の有人火星探査計画の実証基盤として月を利用することへの関心が高まっている。政府機関だけでなく民間事業者による月面探査も計画されており、探査機用のペイロードが必要とされている。
また、地球低軌道を周回する通信衛星やその部品に関心を持つ台湾企業も多い。CAPEはSpaceBDと連携し、宇宙事業に関心を持つ企業に設計、テスト、飛行認定試験のパッケージを提供することを計画している。
NCUは深宇宙の過酷な放射線環境に耐えるようIDEASSatの電子機器を改良し、放射線量を測定するセンサーも搭載する。2023年までにこの「深宇宙放射線探査(Deep Space Radiation Probe)」ペイロードを完成させ、月探査計画で使用することを目指す。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部