1nm未満のらせん構造でキラルな二酸化ケイ素の合成に成功 台・日の共同研究チーム

台湾の陽明交通大学(National Yang Ming Chiao Tung University)は5月7日、日本の大学との共同研究により、従来よりも簡単な方法で、線の幅が1ナノメートル(nm)未満のらせん構造を持ち、非常に高い光学活性を示す二酸化ケイ素を合成したと発表した。同大学の生物科学・技術科のリー・ミンチア(Ming-Chia Li)助教授と、大阪工業大学の平井智康准教授、東京工業大学の早川晃鏡教授らによる共同研究で、研究成果は4月1日、American Chemical Society journalに発表された。

チームは分子設計を用いてかご型シルセスキオキサン(polyhedral oligomeric silsesquioxane: POSS)を含む立体規則性アクリルポリマー材料を合成し、高温で焦がす処理によりらせん構造を作製した。従来、光学活性を持つキラルな(chiral) 二酸化ケイ素を作製するには、多くの場合ゾル-ゲル(sol-gel)と呼ばれる方法を用いるが、この方法では、1 nm以下のらせん構造を大量かつ規則的に作製することは困難であるうえ、多くの複雑な手順が必要だった。

そこで今回の研究では、構造的完全性を保持するキラルな二酸化ケイ素を簡単な方法で合成し、従来の方法で作られるよりも小さならせん構造を作製することに成功した。この研究の成果は、キラル分割等の技術を用いた医薬品開発に役立つと期待されている。

写真提供:国立陽明交通大学(National Yang Ming Chiao Tung University)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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