バングラデシュの水上庭園方式、気候変動の影響地域で応用も

バングラデシュの水上庭園を取り入れれば、気候変動のために洪水が発生しやすい世界の一部で食糧不安を軽減することができる。

AsianScientist - 新たな研究によると、バングラデシュの水上庭園の手法は、世界の中でも洪水が発生しやすい地域で持続可能な農業慣行として応用できるかもしれない。調査結果は、Journal of Agriculture, Food and Environmentに掲載された。

バングラデシュで何世紀も前から実践されている水上庭園は、いかだのように川の水で上下する在来植物から作られている。国土の3分の2が湿地であることから、このような庭園は昔から雨季でも利用され、食糧栽培を可能にしてきた。ミャンマー、カンボジア、インドの一部でもその慣習が見られた。

農業従事者とその家族は、水上庭園を作るためにいかだのような植物の層を組み立て、オクラ、ホウレンソウ、ナスなどの作物の種を中に入れる。いかだのような植物がゆっくりと分解するにつれて、それらは栄養素を放出し、それが種子に栄養を与え、繁茂が可能になる。

長年の間、気候変動はバングラデシュの河川の水量に一層大きな影響を及ぼすようになり、結果として極端な高水位と洪水、そして極端な低水位と干ばつが発生するようになった。バングラデシュの水上庭園には回復力がありそうなことから、バングラデシュ、ドイツ、および米国の研究者チームは、気候変動に直面する中、この農業慣行の利点を確認しようとした。

それにより研究者らは、水上庭園を使用する農家にインタビューし、気候の変化があってもそのような庭園が食料保障と安定した収入を提供するという強力な証拠を見つけた。

伝統的な水田と比較して、水上庭園を取り入れた農業従事者は、家族全員が庭で作業することで最大4倍の収入を得ることができた。女性、子供、お年寄りは苗木を作り、いかだのような水生植物を集める一方で、男性は庭を耕し、侵入者から庭を守る。

これらの利点を考慮して研究者らは、バングラデシュの水上庭園は国の豊かな文化遺産の一部ではないという結論を出した。洪水が発生しやすい世界の他の地域で取り入れられたならば、水上庭園は、気候変動の最悪の影響を受けやすく十分な援助を受けることのできない人々に対し、最も必要な資源を提供することができる。

「ここでは、気候変動の犠牲者であるが、気候変動を引き起こさなかった人々の適応変化に注目しています」 共著者である米オハイオ州立大学のクレイグ・ジェンキンス (Craig Jenkins) 教授はこのように話している。

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