都市部の排泄物、超多剤抵抗性菌の蔓延の要因に 英大学、バングラデシュで比較調査

バングラデシュ国際下痢性疾病研究センターと英バーミンガム大学の研究者らは、バングラデシュの水域を調査し、人間の排泄物による都市の水の汚染が 「超多剤抵抗性菌」 の蔓延を引き起こすことを明らかにした。人々の健康を守るためには水環境を改善することが重要であることを呼びかけた。発表は7月15日付で、研究成果は学術誌mSystemsに掲載された。

世界的に抗生物質耐性菌による感性症が多く発生し、特に低・中所得国 (LMICs) においては憂慮すべき問題となっている。

本研究ではLMICsにおける抗生物質耐性菌の蔓延の要因を明らかにするため、バングラデシュの3つの地域 (マイメンシン、シャリアットプル、ダッカ) の水域を調査した。その結果、農村部に比べ都市部 (ダッカ) の表流水は抗生物質耐性のある糞便性大腸菌群が多く見られることが分かった。未処理の排水の放出や野外排泄の習慣などで、人間の排泄物が河川や湖沼、沿岸地域に放出され、その水が再び生活用水に使用されることが、都市環境における抗生物質耐性菌の拡散の大きな要因であることが示唆された。

本研究の筆頭著者であるバーミンガム大学微生物学・感染症学のウィレム・ヴァン・シェイク (Willem van Schaik) 教授は 「バングラデシュをはじめとするLMICsでは、清潔な水、衛生設備、下水道インフラへのアクセスを改善することが、抗生物質耐性菌が広がるリスクを低減するために重要であると考えられる」 と語る。今後、研究チームは、バングラデシュの表流水における抗生物質耐性菌拡散の要因を定量化するためにさらなる研究を行う予定。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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