米国上院外交委員会の東アジア・太平洋・国際サイバーセキュリティ政策に関する小委員会(Subcommittee on East Asia, the Pacific, and International Cybersecurity Policy)は7月21日、「東アジアと太平洋の気候変動への対応(Combatting Climate Change in East Asia and the Pacific)」と題した公聴会を開催した。
この中で、国防総省の元環境セキュリティ担当国防副次官補(Deputy Undersecretary of Defense for Environmental Security)でウィルソンセンター(Wilson Center)の上級研究員を務めるシェリ・グッドマン(Sherri Goodman)氏が、同地域の気候変動が安全保障に及ぼす影響に関して証言し、気候変動は安全保障上の脅威を倍増させる「脅威乗数(threat multiplier)」であると説明した。
東アジア・太平洋地域では近年、台風等の水文気象災害や熱波、海面上昇、海洋酸性化等、気候変動に関する深刻な問題が生じており、政治的緊張や食料不足・水不足等の状況を悪化させる要因となっている。顕著な問題としては、南シナ海の領有権問題の激化、内陸部の熱波と干ばつによる沿岸都市への人口移動等がある。
同地域の気候問題は物理的インフラ、軍事演習、人道支援等の面で、米軍の活動にも大きな影響を及ぼしている。
グッドマン氏は、米国はあらゆる手段を講じて安全保障に関わる気候変動問題に対処すべきだと主張し、特にこの地域での影響力を拡大している中国との競争に関し、気候セキュリティを考慮に入れた戦略が必要だと訴えた。
具体的な対策として、
―を挙げた。
グッドマン氏は最後に、「気候変動耐性の強化(Climate-proofing)」は、21世紀の米国の安全保障において必要不可欠であると強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部