台湾師範大学(National Taiwan Normal University)は7月20日、同大学の研究チームが、室温で巨大ゼーマン分裂(Giant Zeeman splitting)を行う、原子サイズの二次元単層半導体材料の合成に成功したと発表した。研究論文は米国科学会が出版する学術誌 Journal of the American Chemical Society に発表された。
同大学化学科リウ・イシン(Liu Yi Hsin)助教授の研究チームは、5年間の研究と実験に基づき、有機-無機半導体材料(organic-inorganic semiconductor materials)を使用し、ソルボサーマル法を用いてマンガンイオンを導入する方法を開発した。この材料は室温で強い巨大ゼーマン分裂を示し、極低温でゼロ磁場分裂(zero-field splitting)を示すことができるという。
この不純物添加(doping)技術により実現された長い発光サイクル(luminescence cycle)を持つ希薄磁性材料は、量子電磁力学技術や単一量子ドット発光体(single quantum dot light emitter)の開発に利用できる可能性がある。量子ドット等の量子技術は次世代の暗号通信の鍵になる技術として注目されており、世界中で研究開発が進められている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部