台湾の中央大学(NCU)は8月2日、同大学の「新世代光駆動型太陽電池モジュール研究所(RCNPV)」と加工サービス等を手掛ける企業「ウェイズテクニカル(Ways Technical Corp)」が共同で開発した有機薄膜太陽電池(organic photovoltaics: OPV)モジュールが、世界最高値となる13.6%の電力変換効率を達成したと発表した。
研究の成果は太陽電池技術分野の国際学術誌 Progress in Photovoltaics: Research and Applications に掲載されている。
この小型OPVモジュールは主にウェイズテクニカルで製作され、NCUでモジュール構成の調整と効率性検証が行われた。効率性検証は、RCNPVの「太陽光発電効率性検証実験室(PVEVL)」内で、国際標準化機構の規格「ISO/IEC 17025」に基づく手順に沿って実施された。測定された世界記録は、太陽電池の効率性検証の世界的権威である欧州委員会共同研究センターの欧州太陽電池試験所(JRC-ESTI)の検証を受け確定された。
RCNPV所長のウー・チュングエイ(Wu Chun-Guey)教授は、OPV技術には半透明で色を自由に変更できる、弱い照明の下でも高い変換効率を発揮できる、製造コストが低い等の利点があると語る。屋外と室内のどちらでも発電できるため、IoT(モノのインターネット)センサーや持ち運び用電子デバイスの電源、建材一体型太陽電池(building integrated photovoltaic: BIPV)等の様々な用途に活用できる可能性があり、「商用価値は計り知れない」という。
PVEVLで測定されたこのモジュールの効率性検証データはJRC-ESTIで測定されたデータと高精度で一致し、太陽電池の性能に関するPVEVLの高い検証能力を示す結果となった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部