新型コロナワクチン接種で10年戦略を策定 APEC

日本や米国、中国などが参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して同地域における通常のワクチン接種活動を支え、免疫化プログラムの強靱性(レジリエンス:resilience)と持続可能性(sustainability)を高めるための、2030年までの包括的な10年戦略を策定した。8月23日に発表された。

COVID-19による健康と経済への危機は、世界中の通常の免疫化プログラムを崩壊させている。ワクチン関連問題に取り組み、免疫化のための最善策を特定するために、政府と民間部門の代表者らによるAPECワクチンタスクフォースが、昨年設立された。地域内全ての人々の感染と病気を防ぐことを目的とする。

ワクチン接種に関するAPEC行動計画は、実りある免疫化プログラムと政策目標のための主要指針を盛り込んでいる。ワクチン接種へのライフコースアプローチでは、免疫化スケジュールとワクチン接種へのアクセスが、個々人の生活ステージまたライフスタイル、感染病に対する特定の脆弱性や危険性に適応することが求められる。ライフコースアプローチを採用することにより、健康への平等な成果を改善し、社会システムの健康負担を削減、治療費を下げ、病気が引き起こす賃金と生産性のロスといった経済負担を和らげることになるという。プログラムを推進するにあたって、以下のことを推奨している。

  • ワクチン接種とワクチン革新の価値を認識することを推進する
  • ライフコースにまたがるワクチン接種へのアクセスと利用を優先させる
  • 健康安全と感染病流行に対する政府全体の能力を構築する
  • ワクチン接種に関する自信を強化し、回復力のある免疫化プログラムを策定する
  • ワクチン研究開発・製造・配給に関する投資と技術革新を可能にする
  • APEC参加国間にまたがるワクチンの規制調和を促進する
  • 持続可能な免疫化資金調達をするための、実証済みで革新的な方法を設立する

ワクチン接種はAPECの経済強化のために非常に重要である。COVID-19と将来の感染病に向けて域内全ての人々を守るために、APECは、ワクチンの効果的な貿易・規制・投資を支援するための特別な役割を担っている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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