素粒子物理学の標準モデルを超える理論解釈へ新現象発見 米ライス大学が光の衝突実験

米国のライス大学の物理学者らが、欧州の大型ハドロン衝突型加速器 (LHC) の研究者らと共同で、光の衝突実験を行い、素粒子物理学の「標準モデル」を超える新理論の解釈に役立つと考えられる新現象を発見した。9月20日に発表した。研究成果は科学誌 Physical Review Letters. に掲載された。

光の衝突の実験のイメージ (ライス大学の発表から)

物質の最小単位である素粒子とその運動を扱う素粒子物理学において、基本的な枠組みとして使われているのが 「標準モデル」 である。2012年にLHCでの研究によりヒッグス粒子が発見され、その理論の正しさが証明されている。一方で、この理論では 「重力」 を扱えないことや、宇宙の物質とエネルギーの約4%しか説明できないことなど、その限界が指摘されており、新理論の探求が進められていた。

今回、ライス大学の物理学・天文学准教授のウェイ・リー (Wei Li) 氏とシュアイ・ヤン (Shuai Yang) 氏はLHCのコンパクト・ミュオン・ソレノイド (CMS) 実験の研究者と共同で、重イオンのビームを用いて光の衝突の実験を行った。その結果、衝突により生成されるミューオンと呼ばれる粒子の出発角度が量子干渉によって歪むことを発見した。また、この歪みは接近したイオンの距離が短いほど大きくなることも分かった。

この結果から、光子同士の衝突パラメータを制御する実験手段が確立でき、今後の実験の正確性の向上に寄与すると考えられる。 「新理論の探求のためには、標準モデルのプロセスを正確に理解する必要があるため、今回発見した現象を考慮に入れることは非常に重要です」 とヤン氏は話している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部