EU、インド太平洋への関心低く 調査で判明 5G連携の重視はスウェーデン・ラトビアのみ

欧州外交評議会(ECFR)は、欧州連合(EU)のインド太平洋地域戦略に関して、EU加盟国の多くが大きな関心を持っていないことや、技術分野の優先事項に関する意見が多様であることを示す調査結果を報告した。9月13日付。

欧州理事会(European Council)は4月に、「インド太平洋での協力に関するEU戦略(EU Strategy for Cooperation in the Indo-Pacific)」に関する結論を採択し、同地域との新たな関係構築に向けた戦略を策定する方針を打ち出した。

しかし、ECFRがEU加盟国の政府関係者や専門家を対象にした調査の結果、加盟国の多くが同地域の動向に大きな関心を持っていないことがわかった。

フランス、ドイツ、オランダは独自にインド太平洋戦略を策定しているが、EUとしての長期的なインド太平洋戦略を策定するには、これら3カ国からの後押しだけでは不十分である。

欧州の主権と繁栄に向けたインド太平洋地域の重要性を他の加盟国にも認識させるには、同地域でのEUの存在感や意図を示す明確なプロジェクトを策定し、技術や海上安全保障の分野での同盟関係を確立するべきであるとECFRは主張している。

技術分野では、米国と中国の競争が加速し、EU諸国は相対的な地位の低下に悩んでいる。国際的な規範や規格に基づくデジタルガバナンスを確立するため、EUはインド太平洋地域のパートナーと密に連携する必要があるとECFRは指摘する。

ECFRの調査では、技術分野の優先事項に関する意見は、以下のように加盟国間でまちまちであった。

  • 「5Gの問題」を15カ国が重要と見なした一方、「5Gのパートナーシップ」を最重要事項と見なした国はスウェーデンとラトビアのみであった。
  • 「研究・開発に関する連携」を9カ国が最優先事項と見なした一方、7カ国が最も優先度が低い事項と見なした。
  • 「サイバーセキュリティ問題」に関しては、クロアチア、チェコ、フィンランド、スロベニアが最優先事項と見なした一方、デンマーク、フランス、オランダ、スロバキア等の7カ国は、最もまたは2番目に優先度が低い事項に挙げた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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