国立台湾師範大学(NTNU)は10月7日、同大学と九州大学の研究者が、1つのペロブスカイト半導体に、不揮発性抵抗変化型メモリ(resistive random-access memory: RRAM)と発光電気化学セル(light-emitting electrochemical cell)の両方の機能を搭載した、新しい発光メモリデバイスを開発したと発表した。
電子デバイスでのデータの保存や読み取りを高速化し、ペロブスカイトの光電子光学的特性の応用領域を広げる技術となることが期待される。研究の成果は科学誌 Nature Communications に掲載された。
RRAMとして機能するペロブスカイトデバイスで電気的にデータの書き込み、消去、読み取りを行うと同時に、発光電気化学セルとして機能するもう1つのペロブスカイトデバイスで、発光によりデータが書き込み中か消去中かを伝えることができる。さらに、2つの異なる大きさのペロブスカイト量子ドットを使用することで、メモリが書き込み中か消去中かに応じて異なる色の光を発することが可能になった。
研究チームの一人、九州大学先導物質化学研究所の玉田薫教授 はこの研究について「全ペロブスカイトの発光メモリの利用領域を大きく広げた」とし、「マルチキャストメッシュネットワークからデータ暗号化システムまで、次世代技術のさまざまな分野に応用できる可能性がある」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部