2021年論文引用栄誉賞にアジアから5人の科学者

情報調査会社クラリベイトは、生理学と化学の分野で革新的な研究を行ったアジアの5人の科学者を2021年引用栄誉賞に選んだ。

AsianScientist - 世界で最も影響力を持ち、論文の引用数の多い研究者としてアジアから5人が選ばれた。これらの科学者らは2021年9月22日、クラリベイトによるオンライン発表で引用栄誉賞を受賞した。

引用は、情報源を確認するだけでなく、知識がどのように形成され、共有され、統合されるかを示す。新しい発見が現れると、いくつかの研究はその分野の基礎となり、さらに研究を進めていく中で基本的証拠の役割を持ち何度も引用される。

影響を測る唯一の基準ではないにしても、2,000件以上引用されるということは、かなりのことである。 Web of Scienceに収録された5,000万を超える学術記事のうち、このレベルに達するのは約0.1%にすぎない。引用栄誉賞は、生理学、医学、化学、物理学、経済学の分野で科学的発見を促進した一流の研究者たちから選ばれる。

今年の16人の受賞者のうちアジアから5人が受賞した。日本からは化学分野で澤本光男博士、医学・生理学分野で平野俊夫博士、岸本忠三博士の3名がそれぞれ受賞した。バリー・ハリウェル (Barry Halliwell) 博士はシンガポールで、ホ・ワン・リー (Ho Wang Lee) 博士は韓国で活動している。

最大の発見のいくつかは小さな分子から生まれた。科学者たちは分子をポリマーと呼ばれる鎖に組み立てる新しい方法を考案した。引用栄誉賞化学部門の受賞者である澤本博士は京都大学と中部大学で活動しており、ラジカルと呼ばれる反応種が分子を鎖に付着させる金属触媒リビングラジカル重合と呼ばれる高精度の方法を開発した。

澤本博士は金属を加えることによりこの反応を加速させた。それだけでなく、構造を機能的なものにし、電荷や反応性などの特性を変化させた。現在、この特注ポリマーは電子機器などの材料の製造に幅広く使用されている。工業用途以外には、エネルギー生産などの生物的機能は自然にフリーラジカルを生成し、それは次に細胞の抗酸化化合物によって中和される。

シンガポール国立大学(NUS)と同国科学技術研究庁(A*STAR)に勤務するハリウェル博士はフリーラジカル化学と抗酸化物質に関する研究の先駆者であり、ラジカルがどのようにDNAに損傷を与え、がんなどの病気に影響を与えるのか調べている。

医学・生理学分野では、ハンタウイルスの分離に初めて成功した韓国・高麗大学校のリー博士が受賞した。ハンタウイルスは、腎症候性出血熱と呼ばれる感染症を引き起こす。

リー博士は齧歯類の組織でウイルスを特定してウイルス遺伝子とその世界的蔓延に関するマッピングの基礎を作り、その後、感染抑制を目的とする迅速診断キットとワクチンを開発した。

一方、大阪大学では、平野博士と岸本博士がインターロイキン-6と呼ばれるタンパク質と免疫におけるその重要な役割を発見したおかげで、現在、我々は細胞が感染と戦う抗体を作る仕組みを理解するようになった。発見以来40年以上にわたり、彼らの研究は関節リウマチなどの疾患に対する新しい治療法の開発に影響を与え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)研究にも貢献することとなった。

その他、米国、フランス、イタリアで活動している科学者らが受賞した。2002年に賞が創設されて以来、59人の引用栄誉賞受賞者がノーベル賞を受賞している。

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