インド太平洋のスマートシティ導入に「落とし穴」 新米安全保障センターが警告

新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)のジョシュア・フィット(Joshua Fitt)氏はインド太平洋地域でのスマートシティ技術の導入に際し、独裁主義の脅威から自由主義と人権を守るには、以下のような「落とし穴(pitfalls)」を避けるべきであると警告した。9月30日に公表した。

スマートシティのイメージ

1. 貧弱なプライバシー保護

大量のデータを収集するスマートシティ技術では、政府の監視を含むさまざまなプライバシー侵害が課題となる。2011年の東日本大震災を機にスマートシティ化を進める福島県会津若松市では、許可を得た場合にのみ住民の情報を記録する「オプトイン」方式を採用している。

2. セキュリティの脅威とデータガバナンスの問題

サイバー攻撃に備える情報セキュリティの第一歩が、信頼できるベンダーの選定である。台湾の台北スマートシティプロジェクト管理オフィス(Taipei Smart City Project Management Office)は、中国機器の使用を可能な限り避け、信頼できる国産技術を利用することを方針としている。域内での技術開発が困難な場合、利用する外国ベンダーが倫理的なデータガバナンス慣行を順守していることを確認する必要がある。

3. 透明性の欠如

スマートシティプロジェクトの透明性を示すことで、人々の信頼を獲得できる。オーストラリアのグレータージロング市では、最初のスマートシティ計画の戦略的枠組みと行動計画を、市の承認に先立って市民に公開した。また、市民の意見に基づき「各プロジェクトの利益とデータ保護方針を明確に説明する」と約束した。

フィット氏は、米国とインド太平洋地域の連携に基づくスマートシティ戦略の指針の1つに、「米ASEANスマートシティパートナーシップ(USASCP)」や日米豪印4カ国(クアッド)等の枠組みを通じたスマートシティへの取り組みの強化を挙げた。特に2018年11月の設立以来目立った進展がないUSASCPを活用する手段として、ワークショップやスマートシティ姉妹都市プログラムを実施することを提案している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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